04 6月 2019

【論文紹介】Synthesis and Characterization of a Molecularly Designed High‐Performance Organodisulfide as Cathode Material for Lithium Batteries – Shadike – – Advanced Energy Materials

Adv. Energy Mater. 2019 doi: 10.1002/aenm.201900705
・米国エネルギー省(DOE)のBrookhaven National Laboratoryの研究者らは、LiS電池用の新規硫黄系有機正極材料を開発。
・カソード材料に革新的な有機ジスルフィド化合物(2,3,4,6,8,9,10,12‐Octathia biscyclopenta[b,c]‐5,11‐anthraquinone‐1,7‐dithione (TPQD))を用いた。
・TPQDは251.7mAh/gの初期容量を示す。これは、1分子あたり4.7電子反応に相当する。
・X線吸収分光測定および理論計算の結果、この高い容量はキノン基のOのレドックスやジスルフィド結合の開裂/再結合によって達成されることを確認。
・さらに、ベンゾキノンおよびジチアンによって導入された材料のπ共役構造は、レート特性やサイクル安定性を改善する。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/aenm.201900705

LIS電池というよりは、有機活物質電池だろうか。最近、このような硫黄化合物の合成に関する報告を目にする。
全固体電池よりも有機電池の方がウエアラブル向きだと思う。

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22 5月 2019

【論文紹介】A linear molecule sulfur-rich organic cathode material for high performance lithium–sulfur batteries – ScienceDirect

出典:https://bioage.typepad.com/

Journal of Power Sources Volume 430, Pages 210-217 doi: 10.1016/j.jpowsour.2019.05.022
・北京のBeihang大学の研究者らは、LiS電池用の硫黄カソードとして線状分子硫黄豊富有機材料を開発した。
・線上の分子にすることで、硫黄の高いローディング量を実現し、且つ、ポリスルフィドの溶解を抑制する。
・ テトラメチルチウラムジスルフィド – 硫黄(TMTD − S)カソード材料は、0.2Cで685mAh/gの初期容量で、200サイクル後に540mAh/gの容量を維持する。
・さらに、Ketjen Black導電剤やカーボンクロス集電体を用いることで、1054mAh/gの初期容量を示す。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0378775319305713?via=ihub

LIS電池というより、有機活物質電池に近いのかもしれない。自動車用には厳しいが、軽い電池は新しい用途を生み出す可能性がある。また、安価で遷移金属を用いないで電池を構成できればウエアラブル領域などで市場を得られるかもしれない。

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01 5月 2019

【論文紹介】A free-standing reduced graphene oxide aerogel as supporting electrode in a fluorine-free Li2S8 catholyte Li-S battery

出典:https://www.sciencedaily.com/

Journal of Power Sources, Volume 416, Pages 111-117 doi: 10.1016/j.jpowsour.2019.01.081
・LiS電池の液状硫黄正極液の導電助剤として、多孔質酸化グラフェンエアロゲルを用いた。
・多孔質酸化グラフェンエアロゲルは高い電気伝導性を有し、電気化学反応のための表面積が大きい。
・多孔質酸化グラフェンエアロゲルはスポンジのように液状硫黄正極電解液を大量に含浸することができるため、硫黄充填量を増加させることができる。
・これにより、6.4mg/cm2の硫黄目付量が達成され、これにより作製したLiS電池は350サイクルで容量維持率85%を実証した。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0378775319300916?via=ihub

開発した多孔質酸化グラフェンエアロゲルの使い方の提案の一つといった論文だろう。
このような方法が最適化は判断できないが、電極構造の進化で電池特性を向上させる余地はまだまだあるのではないだろうか。

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31 3月 2019

【論文紹介】Intercalation-conversion hybrid cathodes enabling Li–S full-cell architectures with jointly superior gravimetric and volumetric energy densities | Nature Energy

出典:https://media.springernature.com/

Nature Energy doi: 10.1038/s41560-019-0351-0
・MITの研究者らが、LiS電池用の新しいハイブリット型の正極を開発。
・ハイブリット型正極とは、インターカレーション型Mo6S8とコンバージョン型硫黄(HMSC)の組み合わせ。
・現在LiS電池の多くの報告は、Sの高い理論用にもかかわらず、導電剤の量が多いなど、活物質のロード量が少なく、フルセルとしてのエネルギー密度を十分に取り出すことはできていない。
・高速なリチウムイオン輸送能、高い電子伝導性、およびリチウムポリスルフィドに対する高い親和性を有する、Mo6S8は、硫黄種を固定化する理想的な骨格となりうる。
・これにより、導電剤の量を10wt%程度に減少させることができ、プレスによって高密度化(空隙率55vol%)することができる。
・このハイブリット型正極を用いたLiS電池は、366Wh/kgの重量エネルギー密度および581Wh/Lの体積エネルギー密度を達成。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41560-019-0351-0

05 2月 2019

【論文紹介】Approaching Ultrastable High‐Rate Li–S Batteries through Hierarchically Porous Titanium Nitride Synthesized by Multiscale Phase Separation – Lim – 2019 – Advanced Materials

出典:https://onlinelibrary.wiley.com/

Advanced Materials doi: 10.1002/adma.201806547
・LiS電池の硫黄ホストとしてのマルチスケール多孔質窒化チタン(h-TiN)の提案。
・多孔質のLiS電池ホスト剤に硫黄を充填する方法は他にも試みられているが、本提案は多孔質をマルチスケールにしたTiNを提案。
・大きな穴に硫黄を充填し、より微細な細孔はポリスルフィドの溶解を抑制する。
・結果、h-TiN / Sは5 Cレートで1000サイクル後も557 mAh/gの可逆容量を示し、1サイクルあたりの容量低下はわずか0.016%であることを確認した。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/adma.201806547

海外では硫黄とリチウム金属に最近注目が集まっているように感じる。燃料電池や全固体電池のように、昔から定期的にブームになる。ブームになった背景を分析してみると、いろいろ見えてくるものがある。

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23 12月 2018

【論文紹介】High-areal-capacity lithium-sulfur cathode achieved by a boron-doped carbon-sulfur aerogel with consecutive core-shell structures – Chemical Communications

出典:https://bioage.typepad.com/

Chem. Commun. doi: 10.1039/C8CC07594H
・LiS電池用S系正極として、コアーシェル構造のホウ素ドープカーボンと硫黄のエアロゲルを提案。
・S系正極の課題である、”ポリスルフィドのシャトル”と”活物質自身の低電気伝導度”を解決すべく、ホウ素(B)ドープ炭素をシェルとし、硫黄球をコアとしたコアシェル構造のエアロゲルを合成。
・このシェルはポリスルフィドを物理的に閉じ込め、高い導電性を有する。
・この活物質を用いたLIS電池は、13.5mg cm2の硫黄目付けで、1326mAh / gの高い比容量を確認。
・500サイクルまで99.8%の高いクーロン効率を示す。
<元記事>https://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2018/CC/C8CC07594H#!divAbstract


◯解説:
http://lithiumion.info/myblog/?p=18810
リンク先の技術は活物質自体の開発で、この論文は硫黄を使いこなすシステムの開発である。
どちらが優位かは実際にプレーヤーが自ら作製・評価して検証して行くしかない。
最近の電池技術の多くは、性能を向上させることが目的のもので唯一無二の方法ではなく対抗技術が存在する。市場を獲得するにはそのような対応技術を把握しておくことが必要である。もしくは、市場が成熟する前に一気に投資して先に採用されるかであろう。最近、中国で後者の傾向が強い。技術的な正しさだけを考えていると競争に負けるようなこともあり得るのではないだろうか。

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22 12月 2018

【論文紹介】Lithium phosphorus oxynitride as an efficient protective layer on lithium metal anodes for advanced lithium-sulfur batteries

出典:https://ars.els-cdn.com/

Energy Storage Materials doi: 10.1016/j.ensm.2018.08.010
・LiS電池のリチウム金属負極の保護剤として固体電解質LiPONを用いた。
・LiPONで金属負極を保護することで、ポリスルフィドのシャトル(金属極での還元)とリチウムデンドライトの成長を抑制できることを確認。
・硫黄目付量7mg/cm2で300Wh/kgのエネルギー密度、120サイクル以上に渡って91%の安定したクーロン効率を示すLiS電池を作製できた。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S240582971830792X?via=ihub


◯解説:
LIBのSEIもそうであるが、保護膜は使用したり時間が経つと劣化する。化学反応が劣化要因の場合、その劣化を完全に防ぐことはできない。なので、その劣化が商品を保証したい期間中に不具合を出すようなことがないように制御できるかを見極めるのが重要である。
今回の研究成果もLIS電池の商品性を向上されるのに寄与すると思われる。その向上の程度は市場の要求を満足するものなのだろうか?論文からはなかなか見積もるのは難しいが、興味がある。

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20 12月 2018

【ニュース】ADEKA 次世代二次電池向けレアメタルフリー活物質のサンプル提供を開始

・株式会社ADEKAは、次世代二次電池用活物質「硫⻩変性ポリアクリロニトリル」(以下、「SPAN」)の 2020 年度の製品化を目指して、サンプル提供を開始した。
・性能面やレアメタル問題を解決する次世代電池向け活物質として、硫⻩が注目されていたが、充放電時に生成する反応中間体が電解液へ溶出し、寿命を悪化させることから、二次電池向け活物質としては広く実用化には至っていなかった。
・今回、ADEKAはポリアクリロニトリル(PAN)と硫⻩を反応させた SPANが⻑期にわたって安定した電池性能を保持することを確認した。
<元記事>https://www.adeka.co.jp/news/pdf/181217.pdf


◯解説:
硫黄を正極に用いた時の課題の一つに、電解液に溶解すること、だとされている。その問題に取り組む研究開発が多い。解決方法としては、溶解しない材料を開発することと、溶解しないもしくはしてもいい仕組みを開発することに分かれる。今回の成果は前者に対するものである。
この発表もそうであるが、評価基準が曖昧な表現が多い。「⻑期にわたって安定した電池性能を保持する」というのは比較対象があるはずである。基準が市場と関係なく自社で設定したものでないことを期待したい。

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19 12月 2018

【ニュース】EU 来年1月より€7.9M のLiS電池プロジェクトを開始。- electrive.com

・安全で軽量、高エネルギーな自動車用LiS電池のプロジェクト”LISA”が欧州で開始される。
・Varta Micro Battery、Renault、Fraunhofer、TU Dresden、Oxis Energyなどがパートナーとして参加している。
・LISAでは、20Ahレベルのセルで、非可燃性のハイブリッド固体電解質を開発する予定である。
・これにより、リチウム金属の保護、ポリスルフィドシャトルの抑制を行う予定であるが、これらの技術は既存のリチウムイオン電池にも応用可能である。
・LISAは、欧州連合のHorizo​​n 2020研究およびイノベーションプログラムから790万ユーロの資金を調達している。
<元記事>https://www.electrive.com/2018/12/17/e7-9m-lithium-sulfur-project-launches-in-europe-in-january/


◯解説:
Oxisはすでに大型の電池を試作できている。実際に商品に搭載して検証できる。
軽さを生かしてドローン用途などは可能性があるが出力が問題になるので、ある程度大型になってしまうかもしれない。
現状、LIS電池のメリットは、コストと軽さである。一方、耐久性能と出力、特に入力はLIBに劣る。この優劣をバランスよくカバーできる商品を提案することもこのプロジェクトで提案するのであれば、市場が開けるかもしれない。

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19 12月 2018

【論文紹介】Hierarchical electrode architectures for high energy lithium-chalcogen rechargeable batteries

出典:https://ars.els-cdn.com/

・GMの研究者らによる、リチウム-カルコゲン系二次電池のための導電性フレームワークについて。
・LiS電池やLi-Se電池などのリチウム-カルコゲン系電池は、高い理論的な比容量を有すために注目されているが、ポリスルフィドのシャトル効果や、それ自信の低い導電性などが課題。
・今回、階層的多孔質炭素(SPC)電極を用いることで、カルコゲン系活物質の高い目付量と、カプセル化によるシャトルの抑制、そして高い導電性を有する正極が作製できた。
・この階層的電極構造が比エネルギーを350Wh/kg以上に増加させられる可能性があるとしている。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211285518305020?via=ihub


◯解説:
LIS電池は、多くの企業がLiイオンを使った電池の究極的なエネルギー密度を実現できると考え取り組んでいる。
大きな課題は耐久性である。
Liイオン電池が比較的耐久性能を得られるのは、ロッキングチェア構造を利用しているからである。これを化学反応をベースにした蓄電システムに変えると耐久性能は極端に悪くなる。この根本的な問題を解決できる研究成果が生まれることを期待したい。

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