20 5月 2019

【論文紹介】Coulombic self-ordering upon charging a large-capacity layered cathode material for rechargeable batteries | Nature Communications

出典:https://www.nature.com/

Nature Communicationsvolume 10, Article number: 2185 (2019), DOI: 10.1038/s41467-019-09409-1
・東京大学山田敦夫先生らの研究グループは、活物質の劣化を自己修復する活物質の原理を実証した。
・ナトリウムイオン電池用の酸素レドックス層状正極Na2RuO3は、積層欠陥が充放電サイクルとともに消失する”自己修復機能”を確認した。
・これは、ナトリウムイオンが脱離した後に生じる空孔(マイナスの電荷)と、構造中に残存するイオン(プラスの電荷)との間で、ファンデルワールス力よりもはるかに強い「クーロン引力」が生まれることが重要な役割を果たしていることがわかった。つまり、イオンと空孔が強く引き合うことで乱れのない構造へと自発的に変化し、自己修復されていた。
・このクーロン引力を利用する画期的な方法を他の電極材料にも導入することで自己修復能力が発現すること、さらには、電池の長寿命化が可能となることが期待される。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41467-019-09409-1

LIBの場合、これに似た劣化よりも支配的な劣化モードがある。Naイオン電池はこのモードが劣化の支配的なのであろうか。
このようなメカニズムはRu-Oの組み合わせなので成立しやすい。3d遷移金属では難しいであろう。

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13 3月 2019

【論文紹介】Advances and issues in developing salt-concentrated battery electrolytes | Nature Energy

出典:https://media.springernature.com/

Nature Energy; DOI:10.1038/s41560-019-0336-z
・濃厚電解液についての総説。
・従来のイオン伝導度を優先した濃度固定での設計変数は塩と溶媒の組み合わせ(2次元探索)に限定されていたが、2014年濃度を設計変数に 加える(3次元探索)ことで引き起こされる配位構造の変調が、「溶媒種によらず保護被膜形成 能を大幅に高める」ことが見いだされ、これまで盲点となっていた中・高濃度領域における電解 液開発が集中的に行われた。
・濃厚電解液は、超高速充放電、5 V 級高電圧耐性、消火機能、長期安定動作といった従来得 られなかった大きな付加価値は、先進蓄電池の開発と社会実装を加速する原動力になり得ると期 待されている。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41560-019-0336-z
<プレスリリース>http://www.t.u-tokyo.ac.jp/shared/press/data/setnws_201903121435159440666926_950449.pdf

新しい材料の創出や原理現象に関する進展はアカデミック領域の支援無くして発展はない。一方で、電池という複数の材料の組み合わせであり生産技術なども重要で使われ方も多様化しているデバイスの進展は、一つの材料から予測するのは危険である。ここ20年を振り返ってみると、多くのミスリードがあったことがわかる。

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28 2月 2019

【論文紹介】ナノ空間に閉じ込めた水が「負の誘電率」を持つ – EE Times Japan

出典:https://media.springernature.com/

Nature Communicationsvolume 10, Article number: 850 (2019)
・MXene(マキシン)と呼ぶ層状化合物の層間ナノ空間に閉じ込められた、リチウムイオンと結合している水分子が「負の誘電率」という特性を持つことを発見したと発表した。
・山田氏らの研究グループは、MXeneと呼ぶ層状化合物を電極材料として、各種アルカリ金属イオンを用いてEDLCを作製し、これらの電気二重層容量を測定した。
・1nm以下の空間にイオンと水分子を閉じ込めると、リチウムイオン>ナトリウムイオン>カリウムイオン>ルビジウムイオンの順番で容量が増加することが分かった。
・これは、水和イオン半径から予測される傾向とは逆の異常な現象である。・
・リチウムイオンを使ったEDLCでは、負の誘電率を示さないイオンを用いた場合に比べて、1.7倍の蓄電ができることを確認した。・この特性を利用すると、高エネルギー密度の電気二重層キャパシター(EDLC)を開発することが可能になるという。
<元記事>https://eetimes.jp/ee/articles/1902/26/news029.html
<元論文>https://www.nature.com/articles/s41467-019-08789-8
<東大プレスリリース>https://www.t.u-tokyo.ac.jp/shared/press//data/20150403_YAMADA.pdf

個人的には、学術的にはEDLCへの応用よりスイッチング素子への応用の方がインパクトがあるような気がする。
水和物イオンやイオン自体の大きさは、環境に大きく影響する。前提や定義を厳密にしないと誤解が生じる気がする。

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31 1月 2018

【論文紹介】Microscopic Formation Mechanism of Solid Electrolyte Interphase Film in Lithium-Ion Batteries with Highly Concentrated Electrolyte

J. Phys. Chem. C, Just Accepted Manuscript ; DOI: 10.1021/acs.jpcc.7b11650
・高濃度電解液の使用は、安定なSEI被膜の形成を促進し、電池性能を向上させる結果が報告されているが、そのSEI形成メカニズムの解明を試みた。
・膜形成機構を調査するため、レッドムーン法 (a hybrid Monte Carlo (MC)/molecular dynamics (MD) reaction method)を用いて、アセトニトリルベースの電解液での反応シミュレーションを行った。
・その結果、高濃度電解液中で形成されたSEI膜組成は主として、塩の還元による反応生成物であった。これは、これまでの実験結果に一致する。
・そして、安定したSEI膜は、1)還元生成物の拡散移動、2)Li塩ベースのパッシベーション膜の形成、3)溶媒ベースのフィルム層の形成という段階的に形成されることが明らかとなった。
<元記事>http://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/acs.jpcc.7b11650

29 11月 2017

【論文紹介】Fire-extinguishing organic electrolytes for safe batteries

出典:https://www.nature.com/

Nature Energy (2017) doi:10.1038/s41560-017-0033-8
・東京大学山田敦夫先生らのプレスリリース ”火を消す高性能電解液を開発 -絶対に発火しない長寿命電池の実現へ- ”の元論文。
・高濃度電解質+難燃性溶媒(リン酸トリメチル)のみの電解液。
・この電解液は、引火点を持たない。加えて、200℃以上への温度上昇時に発生・拡散する蒸気も消火剤となることから、電池の発火リスクを広範囲にわたって積極的に低減する。
・通常、カーボネート系溶媒や添加剤が含まれていなければ黒鉛負極上にSEIが形成されず、安定したサイクルが得られない。
・今回、高濃度電解質が、負極上に安定した無機パッシベーション膜を自発的に形成することを利用して、カーボネート系溶媒を含まない、難燃剤と電解質のみからなる電解液の開発に至った。
・難燃電解液は、黒鉛、ハードカーボン負極で1000サイクル以上安定して充放電を繰り返すことができる。
<元記事(論文)>https://www.nature.com/articles/s41560-017-0033-8
<プレスリリース本文>http://www.t.u-tokyo.ac.jp/shared/press/data/setnws_201711281032490218235794_175530.pdf

22 12月 2016

【インタビュー】有機溶媒電解液にかわる水系のリチウムイオン伝導性液体発見 - 安価、安全、高性能なリチウムイオン電池実用化に道 | ネイチャー・ジャパン

出展:http://www.huffingtonpost.jp/

・”水”をベースとした新たなリチウムイオン伝導性液体「常温溶融水和物(ハイドレートメルト;hydrate melt)」を発表した東京大学山田淳夫教授、山田裕貴助教へのインタビュー記事。
<元記事>http://www.huffingtonpost.jp/nature-publishing-group/organic-solvent-electrolyte_b_13718902.html

28 8月 2016

【論文紹介】Hydrate-melt electrolytes for high-energy-density aqueous batteries : Nature Energy

出展:http://www.nature.com/

Nature Energy 1, Article number: 16129 (2016), doi:10.1038/nenergy.2016.129
・プレスリリース ”東大など、新たなリチウムイオン伝導性液体を発見” の元論文。
・水と特定のリチウム塩2種(LiTFSI,LiBETI)を一定の割合で混合することで、一般的には固体となるリチウム塩二水和物が常温で安定な液体、つまりハイドレートメルトとして存在することを見出した。
・発見したハイドレートメルトは、水を使っているにも関わらず、3V以上の高い電圧をかけても分解しない。
・3.1V級(LiNi0.5Mn1.5O4正極-Li4Ti5O12負極)及び2.4V級(LiCoO2正極-Li4Ti5O12負極)のリチウムイオン電池の可逆動作を確認した。
・また、6分以下での超高速な充電・放電が可能であることも見出している。
<元記事>http://www.nature.com/articles/nenergy2016129

01 7月 2016

【論文紹介(オープンアクセス)】Superconcentrated electrolytes for a high-voltage lithium-ion battery : Nature Communications

出展:http://www.nature.com/

Nature Communications 7, Article number: 12032 doi:10.1038/ncomms12032
・高電圧化と高安全化を可能にする電解液についての報告。
・東大山田敦夫先生がこれまで報告してきた高濃度電解液は、リチウムイオン、対アニオン、溶媒分子が相互に結びついた構造を有しており、既存の有機電解液と比較して燃えにくい特性を有するとともに、高電圧作動時の副反応や劣化を抑制することを明らかとした。
・これを応用することで、4.6Vのリチウムイオン電池の安定作動に成功した。
<元記事>http://www.nature.com/ncomms/2016/160629/ncomms12032/full/ncomms12032.html

19 4月 2016

【ニュース】東大、次世代電池の候補であるナトリウムイオン電池のプラス極を開発  日経プレスリリース

出展:http://release.nikkei.co.jp/

・東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻の山田淳夫教授、大久保將史准教授らの研究グループは、層状の酸化物に多量に含まれる酸化物イオンが酸化・還元反応を示すことを発見。
・この酸化物イオンの酸化・還元反応の発生には、協同的な構造の歪みが鍵になっていることが明らかとなった。
・発見された酸化物イオンの酸化・還元反応は非常に安定に繰り返すことが可能であり、遷移金属からのみ電子を取り出す従来型のプラス極に比べて1.4倍の電気量を蓄えることが可能な高性能プラス極として機能することも確認された。
・本成果はNature Communicationsに発表される(DOI:10.1038/NCOMMS1139)。
<元記事>http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=411914&lindID=5

26 10月 2015

【論文紹介】Review—Superconcentrated Electrolytes for Lithium Batteries

出展:http://jes.ecsdl.org/

J. Electrochem. Soc. 2015 volume 162, issue 14, A2406-A2423
・東京大学山田敦夫先生の高濃度電解液のリチウムイオン電池のレビュー(オープンアクセス)。
・高濃度電解液の構造、負極、正極への効果、リチウムメタルの析出形態への影響、高速充放電への効果等、これまでの高濃度電解液の実験がまとめられている。
<元記事>http://jes.ecsdl.org/content/162/14/A2406.abstract