23 12月

【論文紹介】High-areal-capacity lithium-sulfur cathode achieved by a boron-doped carbon-sulfur aerogel with consecutive core-shell structures – Chemical Communications

出典:https://bioage.typepad.com/

Chem. Commun. doi: 10.1039/C8CC07594H
・LiS電池用S系正極として、コアーシェル構造のホウ素ドープカーボンと硫黄のエアロゲルを提案。
・S系正極の課題である、”ポリスルフィドのシャトル”と”活物質自身の低電気伝導度”を解決すべく、ホウ素(B)ドープ炭素をシェルとし、硫黄球をコアとしたコアシェル構造のエアロゲルを合成。
・このシェルはポリスルフィドを物理的に閉じ込め、高い導電性を有する。
・この活物質を用いたLIS電池は、13.5mg cm2の硫黄目付けで、1326mAh / gの高い比容量を確認。
・500サイクルまで99.8%の高いクーロン効率を示す。
<元記事>https://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2018/CC/C8CC07594H#!divAbstract


◯解説:
http://lithiumion.info/myblog/?p=18810
リンク先の技術は活物質自体の開発で、この論文は硫黄を使いこなすシステムの開発である。
どちらが優位かは実際にプレーヤーが自ら作製・評価して検証して行くしかない。
最近の電池技術の多くは、性能を向上させることが目的のもので唯一無二の方法ではなく対抗技術が存在する。市場を獲得するにはそのような対応技術を把握しておくことが必要である。もしくは、市場が成熟する前に一気に投資して先に採用されるかであろう。最近、中国で後者の傾向が強い。技術的な正しさだけを考えていると競争に負けるようなこともあり得るのではないだろうか。

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23 12月

【コラム】リチウムイオン電池、まだイケる EVで500km走行へ  :日本経済新聞

・1回の充電で東京―大阪間に相当する500キロメートルを走れるリチウムイオン電池技術の開発が活発だ。積水化学工業の技術は突破のメドがたち、旭化成も近づいた。
・いずれも既存の電極を使うことができ、2020年代前半に実用化する見込み。
・経済産業省は電池の性能をフルに使い切る技術開発を支援する。
・世界で電気自動車(EV)化の流れが加速しており、課題だった走行距離が大幅に伸びれば、リチウムイオン電池が主役の時代はまだまだ続きそうだ・・・・
<元記事>https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39249780R21C18A2TJM000/


◯解説:
EVで走行距離を伸ばすことが重要だとした時に、電池に求められるのは軽さであり、市場投入の際にはコストと耐久性能である。搭乗性を無視して電池を積めば1000キロでも走れる。しかし電池を積めばその分コストは上がる。一方ガソリン車は走行距離を伸ばしたければタンクを大きくするだけである。
EVの主張していく性能は走行距離や充電性能ではないのではないだろうか?

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20 12月

【ニュース】ADEKA 次世代二次電池向けレアメタルフリー活物質のサンプル提供を開始

・株式会社ADEKAは、次世代二次電池用活物質「硫⻩変性ポリアクリロニトリル」(以下、「SPAN」)の 2020 年度の製品化を目指して、サンプル提供を開始した。
・性能面やレアメタル問題を解決する次世代電池向け活物質として、硫⻩が注目されていたが、充放電時に生成する反応中間体が電解液へ溶出し、寿命を悪化させることから、二次電池向け活物質としては広く実用化には至っていなかった。
・今回、ADEKAはポリアクリロニトリル(PAN)と硫⻩を反応させた SPANが⻑期にわたって安定した電池性能を保持することを確認した。
<元記事>https://www.adeka.co.jp/news/pdf/181217.pdf


◯解説:
硫黄を正極に用いた時の課題の一つに、電解液に溶解すること、だとされている。その問題に取り組む研究開発が多い。解決方法としては、溶解しない材料を開発することと、溶解しないもしくはしてもいい仕組みを開発することに分かれる。今回の成果は前者に対するものである。
この発表もそうであるが、評価基準が曖昧な表現が多い。「⻑期にわたって安定した電池性能を保持する」というのは比較対象があるはずである。基準が市場と関係なく自社で設定したものでないことを期待したい。

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19 12月

【論文紹介】Hierarchical electrode architectures for high energy lithium-chalcogen rechargeable batteries

出典:https://ars.els-cdn.com/

・GMの研究者らによる、リチウム-カルコゲン系二次電池のための導電性フレームワークについて。
・LiS電池やLi-Se電池などのリチウム-カルコゲン系電池は、高い理論的な比容量を有すために注目されているが、ポリスルフィドのシャトル効果や、それ自信の低い導電性などが課題。
・今回、階層的多孔質炭素(SPC)電極を用いることで、カルコゲン系活物質の高い目付量と、カプセル化によるシャトルの抑制、そして高い導電性を有する正極が作製できた。
・この階層的電極構造が比エネルギーを350Wh/kg以上に増加させられる可能性があるとしている。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211285518305020?via=ihub


◯解説:
LIS電池は、多くの企業がLiイオンを使った電池の究極的なエネルギー密度を実現できると考え取り組んでいる。
大きな課題は耐久性である。
Liイオン電池が比較的耐久性能を得られるのは、ロッキングチェア構造を利用しているからである。これを化学反応をベースにした蓄電システムに変えると耐久性能は極端に悪くなる。この根本的な問題を解決できる研究成果が生まれることを期待したい。

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26 10月

【ニュース】Talga 高容量graphene silicon負極を発表; Safevolt projectの研究成果で – Green Car Congress

出典:https://www.greencarcongress.com/

・オーストラリアの先進材料技術企業Talga Resources Ltdは開発したグラフェンシリコンリチウムイオン負極の初期試験結果を発表。
・Talgaが開発したグラフェンシリコンリチウムイオン負極”Talnode-Si”の初期試験結果は、550mAh/gの可逆容量で45サイクル後に95%の容量を維持するというもの。
・この成果は、英政府が資金提供し、Johnson Matthey、ケンブリッジ大学などが参加する「Safevolt」プロジェクトによるもの。
<元記事>https://www.greencarcongress.com/2018/10/20181025-talga.html

<X’s EYE> 
◯解説:
正直、このような発表は判断が難しい。サイクル特性は作り方と評価条件によって大きく変わり、材料の本質を隠してしまうことがある。我々にとっての損失はいい材料なのにそれを見逃してしまうことであろう。それを避ける方法はあるが、そのような評価を行っていない会社がほとんである。
評価方法としては、

   
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09 9月

【論文紹介】Metal–organic framework@SiO2 as permselective separator for lithium–sulfur batteries

出典:http://pubs.rsc.org/

J. Mater. Chem. A. 6, 14623–14632; doi: 10.1039/C8TA02259C
・LiS電池のポリスルフィドのシャトル抑制手法の提案。
・金属有機構造体(MOF)をシリカの表面に修飾し、セパレータ(セルガード)上にコーティングした。
・MOF修飾シリカがポリスルフィドと静電相互作用により吸着し、シャトルを抑制できることを確認。
・その結果、このセパレータを用いたLiS電池はシャトル効果による自己放電が抑制されることを実証した。
<元記事>http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2018/TA/C8TA02259C#!divAbstract

<X’s EYE(X氏コメント)>
デザイン:
硫黄のシャトル反応を抑制できていることが真実であれば、 Read More

29 8月

【論文紹介】A LiPO2F2/LiFSI dual-salt electrolyte enabled stable cycling of lithium metal batteries

出典:https://www.sciencedirect.com/

Journal of Power Sources, Volume 400, Pages 449-456 doi: 10.1016/j.jpowsour.2018.08.059
・Li金属電池の高クーロン効率と長期サイクル安定性を達成するため、リチウムジフルオロホスフェート(LiPO2F2)とリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を1:1で混合したdual-salt electrolyteを提案。
・これまで、リチウム金属電池のサイクル安定性が、SEI層に含まれるLixPOyFzによって大幅に強化され得ることはわかっていたが、そのイオン伝導性の低さから電解質塩としては不適であった。
・そこで、イオン伝導性が高くLi金属との相性の良いLiFSIを組み合わせたところ、Li金属電池の高クーロン効率と長期サイクル安定性を両立することを試みた。
・結果、1M LiPO2F2と1M LiFSIを1,2-ジメトキシエタンに電解液として使用すると、1.0mAhの容量で1mAで300サイクル以上Li / Cuセルをサイクルさせることを実証した。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0378775318309182?via=ihub

30 7月

【ニュース】中国 科達石炭化学研究院 純炭負極材料、EVの航続距離を600キロに_中国網_日本語

・中国科達石炭化学研究院はこのほど、純炭を主成分とする大容量・高密度リチウムバッテリー用特殊炭素系負極材料を開発したと発表した。
・同材料を用いる新型EV用リチウムバッテリーの試験生産が、成都南光新エネルギー公司で正式に始まった。
・実験によると、この新型負極材料の容量は2200mAh/gに達し、負極の圧縮密度は2.0g/cm3以上に達する。正極に3元材料のコバルト酸リチウムを用いることで、リチウムバッテリーの質量エネルギー密度は350Wh/kg以上に達する。
・また、新材料を用いるリチウムバッテリーの充電時間は15分以内であり、従来のバッテリーでは不可能なことだ。試験において、新材料バッテリーは充電中も使用中も常温を維持した、とのこと。
<元記事>http://japanese.china.org.cn/business/txt/2018-07/29/content_57340707.htm

24 7月

【論文紹介】High-performance All-Solid-State Li-Se Batteries Induced by Sulfide Electrolyte

出典:http://bioage.typepad.com/

Energy & Environmental Science doi: 10.1039/C8EE01621F
・Western Ontario大学の研究者らは、負極にLi-Sn合金、正極にSe-Li3PS4-C複合体、電解質にLi3PS4を用いた全固体電池を提案。
・LiS電池の正極のSに比べてSeは高い電気伝導度を有する。加えて、Seは電解質/正極剤の界面のリチウムイオンの伝導度が1.4 x 10-5S/cmと高い。
・今回、この全固体電池は652mAh/gの高い可逆容量、サイクル時の良好な容量保持を実証した。
<元記事>http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2018/EE/C8EE01621F#!divAbstract

20 7月

【論文紹介】Nucleation of dislocations and their dynamics in layered oxide cathode materials during battery charging | Nature Energy

出典:https://www.nature.com/

Nature Energy doi: 10.1038/s41560-018-0184-2
・カリフォルニア大学サンディエゴ校のチームが、リチウムリッチ層状酸化物正極(LRLO)の課題である電圧低下の原因について、そのメカニズム解明を行った。
・オペランドの3次元ブラッグコヒーレント回折イメージングを用いて、充電中のLRLOナノ粒子中の格子欠陥を直接観測した。
・結果、LRLOの構造における欠陥の発生と欠陥の蓄積が電圧消失の起源であることを明らかにした。
・そしてそれは可逆的であり、電圧減衰した活物質を熱処理してバルク構造の欠陥を取り除くことで電圧を回復できることを実証した。
・この再生手法はスケーラブルではないが、LRLOの電圧減衰が可逆的であり、酸素のレドックスを利用する活物質の設計のための新たな知見として有用であることを確認した。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41560-018-0184-2