05 7月 2019

【ニュース】産総研:亜鉛空気電池の二次電池化に資する電解質

・産総研の研究員らは、京都大学らとともに、充放電による劣化を抑制した亜鉛空気二次電池用電解質を開発した。
・塩化亜鉛濃度を限界まで濃くした塩化亜鉛水和物溶融塩を液体電解質として用いることで、揮発性と二酸化炭素の吸収を抑えた。
・これにより、高容量・長寿命の亜鉛空気二次電池の実現へ貢献が期待される。
<元記事>https://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2019/nr20190704/nr20190704.html

揮発性を抑えたり特定のガスの吸収を抑えるような設計思想は、何か他の分野に応用可能な知見になりうる。少し前までは、科学技術の価値はそういう長期的で不確定なものを期待できるユニークなものを許容していたが、最近は当事者でないメディアが過剰に取り上げたり評価する側に配慮がなくなった。そのような理由のせいか、海外に比べると日本の研究は視野が狭い感じを受ける。

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02 7月 2019

【ニュース】米SolidEnergy、Li金属負極で450Wh/kgの容量6Ahの電池を開発 | 日経 xTECH(クロステック)

・米ソリッドエナジー・システムズ(SolidEnergy Systems、SES)は、リチウム(Li)金属負極を使い、セルの質量エネルギー密度が450Wh/kgと高い、容量6Ahの電池「SES Hermes 6Ah」を開発した。
・先進車載電池の国際会議「19th Annual Advanced Automotive Battery Conference(AABC 2019)」(2019年6月24~27日に米国サン・ディエゴで開催)で最高経営責任者(CEO)のQichao Hu氏が明らかにした。
・今回開発した電池のセルは、負極に銅(Cu)に超薄型のLi金属をラミネートしたものを使い、正極にはニッケル(Ni)リッチのニッケル-マンガン-コバルト酸リチウム(NMC)を使っているとみられる。
・セパレーターはセラミックスのフィラー入りのコーティングを施したもで、同氏は安全性を高めているとする。また、負極とセパレーターの間には保護層となるコーティング層を設けている模様だ。
・Liのデンドライト(針状結晶)の生成を抑制する技術も投入しているとみられる
<元記事>https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/event/18/00068/00005/

Liイオン電池のロマンの一つは負極フリー(電池を作った時の状態)であろう。SolidEnergyはそれにチャレンジしているベンチャーである。この調子でいくと来年あたりに計画通り20Ahのモビリティ向けのラインナップが加わるのであろう。

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14 6月 2019

【論文紹介】A Semiliquid Lithium Metal Anode: Joule

出典:https://www.cell.com/

Joule doi: 10.1016/j.joule.2019.05.022
・全固体電池用のリチウム金属負極を半液体状にすることで、固体電解質/負極界面の抵抗を低減した。
・二種の導電性高分子とリチウム金属微粒子を懸濁液として、半液体状のリチウム金属負極(SLMA)を開発した。
・半液体状であるため、全固体電解質と負極との界面は良好に接触し、通常のリチウム金属/固体電解質電池と比較して10倍以上の放電電流が可能となり、且つ、リチウム析出溶解反応の過電圧が減少する。
<元記事>https://www.cell.com/joule/fulltext/S2542-4351(19)30265-X?_returnURL=https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S254243511930265X?showall=true

Li金属の析出溶解界面を増やすことができたために抵抗が小さくなったということであろうか。
サイクルを回しても初期の形状が継続できるのであれば、リチウム金属を使用するブレイクスルーになるかもしれない。

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09 6月 2019

【論文紹介】Customizing a Li–metal battery that survives practical operating conditions for electric vehicle applications

出典:https://pubs.rsc.org/

Energy Environ. Sci. doi: 10.1039/C9EE00716D
・急速充電が可能なリチウム金属電池に関する報告。
・金属負極にLiNO3による前処理を行い、Li2Oリッチ層を賦与。
・電解液はEMC,FECの混合物に1MのLiPF6、0.05MのLithium difluorooxalatoborate (LiODFB)を用いた。
・正極はAlをドープしたLi[Ni0.75Co0.10Mn0.15]O22
・この構成のリチウム金属電池は、4.1mAh/cm2の電流でフル充放電が可能。
・パウチ型セルで500サイクル後の維持率が90%であることを確認。
<元記事>https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2019/EE/C9EE00716D#!divAbstract

入出力特性をグラファイト並みにするのは、何かして表面積を上げなければならない。そうすると違った課題が出てくる。
金属Li負極はこのような表面処理を用いた場合、入出力特性が必要なく、容量が求められる用途向きだろう。

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04 6月 2019

【論文紹介】Synthesis and Characterization of a Molecularly Designed High‐Performance Organodisulfide as Cathode Material for Lithium Batteries – Shadike – – Advanced Energy Materials

Adv. Energy Mater. 2019 doi: 10.1002/aenm.201900705
・米国エネルギー省(DOE)のBrookhaven National Laboratoryの研究者らは、LiS電池用の新規硫黄系有機正極材料を開発。
・カソード材料に革新的な有機ジスルフィド化合物(2,3,4,6,8,9,10,12‐Octathia biscyclopenta[b,c]‐5,11‐anthraquinone‐1,7‐dithione (TPQD))を用いた。
・TPQDは251.7mAh/gの初期容量を示す。これは、1分子あたり4.7電子反応に相当する。
・X線吸収分光測定および理論計算の結果、この高い容量はキノン基のOのレドックスやジスルフィド結合の開裂/再結合によって達成されることを確認。
・さらに、ベンゾキノンおよびジチアンによって導入された材料のπ共役構造は、レート特性やサイクル安定性を改善する。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/aenm.201900705

LIS電池というよりは、有機活物質電池だろうか。最近、このような硫黄化合物の合成に関する報告を目にする。
全固体電池よりも有機電池の方がウエアラブル向きだと思う。

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22 5月 2019

【論文紹介】A linear molecule sulfur-rich organic cathode material for high performance lithium–sulfur batteries – ScienceDirect

出典:https://bioage.typepad.com/

Journal of Power Sources Volume 430, Pages 210-217 doi: 10.1016/j.jpowsour.2019.05.022
・北京のBeihang大学の研究者らは、LiS電池用の硫黄カソードとして線状分子硫黄豊富有機材料を開発した。
・線上の分子にすることで、硫黄の高いローディング量を実現し、且つ、ポリスルフィドの溶解を抑制する。
・ テトラメチルチウラムジスルフィド – 硫黄(TMTD − S)カソード材料は、0.2Cで685mAh/gの初期容量で、200サイクル後に540mAh/gの容量を維持する。
・さらに、Ketjen Black導電剤やカーボンクロス集電体を用いることで、1054mAh/gの初期容量を示す。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0378775319305713?via=ihub

LIS電池というより、有機活物質電池に近いのかもしれない。自動車用には厳しいが、軽い電池は新しい用途を生み出す可能性がある。また、安価で遷移金属を用いないで電池を構成できればウエアラブル領域などで市場を得られるかもしれない。

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02 5月 2019

【論文紹介】Rechargeable Ultrahigh-capacity Tellurium-Aluminum Batteries

出典:https://bioage.typepad.com/

Energy & Environmental Science doi: 10.1039/C9EE00862D
・北京工科大学の研究者らは、北京工科大学の同僚と共に、超高容量のテルル – アルミニウム二次電池(TAB)を構築するためのテルルナノワイヤ正極の可能性を実証した。
・既報のアルミニウムイオン電池正極のカルコゲン(硫黄、セレン)は100mAh/gを超える容量が報告されているが、電気伝導性が低いため、導電剤が多量に必要であり、電極としては大きな容量は取り出せない。
・今回、カルコゲンの中では導電性の高いテルルに着目し、テルルナノワイヤを合成した。
・さらに、可溶性のテルルクロロアルミネート化合物のシャトル効果を抑制する目的で、還元グラフェン酸化物の導電助剤と、セパレータへのカーボンナノチューブの修飾を行った。
・これにより、1.4Vの平均電圧で1260mAh/gのアルミニウムイオン電池用正極を実証した。
<元記事>https://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2019/EE/C9EE00862D#!divAbstract

Alイオンの特徴を生かすには軽さではないだろうか。このような材料の選択はそれを生かすものである。さらに生かすには、外装材料を簡略化していく必要がある。そうすると電解液にもうひと工夫ほしいところである。

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01 5月 2019

【論文紹介】A free-standing reduced graphene oxide aerogel as supporting electrode in a fluorine-free Li2S8 catholyte Li-S battery

出典:https://www.sciencedaily.com/

Journal of Power Sources, Volume 416, Pages 111-117 doi: 10.1016/j.jpowsour.2019.01.081
・LiS電池の液状硫黄正極液の導電助剤として、多孔質酸化グラフェンエアロゲルを用いた。
・多孔質酸化グラフェンエアロゲルは高い電気伝導性を有し、電気化学反応のための表面積が大きい。
・多孔質酸化グラフェンエアロゲルはスポンジのように液状硫黄正極電解液を大量に含浸することができるため、硫黄充填量を増加させることができる。
・これにより、6.4mg/cm2の硫黄目付量が達成され、これにより作製したLiS電池は350サイクルで容量維持率85%を実証した。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0378775319300916?via=ihub

開発した多孔質酸化グラフェンエアロゲルの使い方の提案の一つといった論文だろう。
このような方法が最適化は判断できないが、電極構造の進化で電池特性を向上させる余地はまだまだあるのではないだろうか。

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13 4月 2019

【論文紹介】Anti‐Oxygen Leaking LiCoO2 – Sharifi‐Asl – – Advanced Functional Materials

Advanced Functional Materials, 2019; 1901110 DOI: 10.1002/adfm.201901110
・イリノイ大学シカゴ工科大学の研究者らが、グラフェンで被覆したコバルト酸リチウムの熱安定性を高め、高電圧での酸素放出を抑制することを確認した。
・rGO/LCOの界面において、強いC-Ocathode結合を形成しており、それによって酸素放出を抑制する。
・このグラフェン被覆LCOは高いカットオフ電圧において、未被覆品に比べて顕著にサイクル容量維持率が向上することを確認した。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/adfm.201901110

高電位で活物質が分解しない対策は、ドーパントや形状、結晶性の制御で行われることが多かった。
このような被服でも効果があるのであれば、新しい選択が増えたことになる。C-0結合云々の原理説明が正しければ三元系やNCAなどにも展開できるということになる。

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03 4月 2019

【ニュース】Johnson Matthey eLNOの商品化において2つの大きなマイルストーンを達成 – Green Car Congress

・Johnson Matthey(JM)は、超高エネルギー電池カソード材料eLNOの商品化において、2つの主要な戦略的開発を達成したと発表。
1)ポーランドに43へクタールの敷地を商業プラントの建設用に確保。これにより、eLNOの製造能力を年間最大10万MTまで拡大得きる。
2)Nemaska Lithium Inc.との長期供給契約を締結し、今後10年間にわたって水酸化リチウムの供給を確保。
・Johnson MattheyのCEO、Robert MacLeod氏は、この2つの発表は、eLNOの商品化が順調に進んでいることを示しているとアピールしている。
<元記事>https://www.greencarcongress.com/2019/03/20190330-jm.html

世界の三大自動車触媒メーカーの最後の一社がいよいよ販売に乗り出す。触媒の出荷量が減る可能性に対するリスク回避の動きである、一方で、日系の触媒メーカーが同様のリスク回避の動きは活発でない。

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