12 9月 2019

【論文紹介】Cycle stability of conversion-type iron fluoride lithium battery cathode at elevated temperatures in polymer electrolyte composites | Nature Materials

出典:https://www.nature.com/

Nature Materials, 2019; DOI: 10.1038/s41563-019-0472-7
・熱安定性に乏しいと考えられてきた金属フッ化物正極が固体電解質と併用することで、熱安定性が向上する。
・金属フッ化物コンバージョン正極は低コスト正極として古くから注目をされてきたが、熱安定性に乏しく、実用化は困難であった。
・今回、金属フッ化物正極と固体高分子電解質を併用することで、高温での性能を改善できることを実証した。
・本報告では、高容量(>450mAh/g)のFeF2/高分子固体電解質ナノ複合体正極用いたセルを50度で300サイクル安定して充放電を繰り返すことを確認した。
・高温での安定性は、柔軟な高分子固体電解質はFeF2の充放電に伴う大きな体積変化を緩和し、FeF2表面に均一なカソード電解質界面層を形成することに起因する。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41563-019-0472-7

少し曲がった見方をしてしまうと、高温でないと綺麗なデータが取れないとも読み取れてしまう。
電池は用途にもよるが、充電と放電の電圧の差は、いくら電池容量が大きくても実用化を考えたときに大きな問題になる。このような材料を使用すると過電圧が大きくなる。その根本的な原理解明や解決策を考える研究の方が重要だと思う。

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29 8月 2019

【ニュース】次世代大容量バッテリー普及につながるか。新しいコーティング技術がリチウム金属電池の弱点カバー – Engadget 日本版

・米スタンフォード大学とSLAC国立加速器研究所の研究チームは、リチウム金属負極のデンドライト発生問題を解決する方法を発見した。
・彼らは、問題の原因となるデンドライトの発生を大幅に抑制する特殊な保護被膜を作った。
・このコーティング技術は、帯電したリチウムイオンを電極に均一に送達する分子のネットワークを作ることで、デンドライトの発生を抑制する。
・チームは160回の充電サイクルを実施したあとでも、もとの85%の充電容量を維持できるリチウム金属バッテリーを生み出すことができたと述べている。
<元記事>https://japanese.engadget.com/2019/08/27/new-coating-lithium-metal-batteries/

160回の充放電で85%という数字を聞くと実用化は遠い感じはしてしまうが、確実に技術は進化して性能は向上しているのであろう。

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23 8月 2019

【論文紹介】Quantifying inactive lithium in lithium metal batteries | Nature

出典:https://media.springernature.com/

Nature, 2019 DOI: 10.1038/s41586-019-1481-z
・リチウム金属電池の容量劣化の原因の一つはSEI中に堆積する不活性リチウム(デッドリチウム)。
・従来まで、容量劣化(低クーロン効率)の原因はSEIの堆積によるものと考えられており、SEI層を制御および安定化するためのさまざまな方法の開発を行ってきたが、完全に解決できていない。
・今回、SEI中のリチウムイオンと不活性なリチウムメタルを分離して定量的に測定する手法を開発し、解析したところ、放電中のリチウム金属負極において、金属リチウムの一部が負極から分離し、SEI層中に取り残されていることが確認された。
・それにより、それらのリチウムメタルは、負極との電気的接続が切れ、その後の放電に寄与できないデッドリチウムとなり、クーロン効率を低下させる原因となっていることが明らかとなった。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41586-019-1481-z

個人的な感想になるが、このような内容がNatureに掲載されて嬉しさを覚えた。あたりまのことを確認しているように思えるが、学術の進化はこのような原理を一つ一つ確認していくことが重要だと思う。ただ単に数値を競うものだけでなく、このような研究が電池分野でも増えることを期待したい。

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08 8月 2019

【論文紹介】Long cycle life and dendrite-free lithium morphology in anode-free lithium pouch cells enabled by a dual-salt liquid electrolyte | Nature Energy

出典:https://media.springernature.com/

Nature Energy doi: 10.1038/s41560-019-0428-9
・ジェフダーンらのチームによる、負極レスLi金属電池の長寿命化電解液組成に関する報告。
・デュアルソルト電解液 (1 M lithium difluoro(oxalate)borate (LiDFOB) and 0.2 M lithium tetrafluoroborate (LiBF4) in a fluoroethylene carbonate (FEC):diethyl carbonate (DEC) solvent)によって、負極レスLi金属電池が90サイクル80%の容量維持率を示すことを確認。
・50サイクルの時点でも負極表面にはデンドライトのないなめらかな表面である。
・この研究は、液体電解質であってもLi金属電池を使用できることを示しているとのこと。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41560-019-0428-9

共著者にテスラ関係者が入っている。テスラ も金属リチウムに興味を持っているようだ。

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04 8月 2019

【論文紹介】Characterization of Sn4P3–Carbon Composite Films for Lithium-Ion Battery Anode Fabricated by Aerosol Deposition | Nanomaterials

出典:https://www.mdpi.com/nanomaterials/

Nanomaterials, 2019; 9 (7): 1032 DOI: 10.3390/nano9071032
・豊橋技術科学大学の研究者らは、エアロゾルデポジション法(AD)により、リチウムイオン電池アノード用のバインダーレスSn4P3 / C複合膜電極の製造に成功した。
・Sn4P3粒子をボールミル粉砕法を用いてアセチレンブラックと複合体を形成する。次いで、得られたSn4P3 / C粒子を、導電性添加剤または結着剤を添加することなく、衝撃圧密によって金属基材上に直接固化させる。
・ADプロセスによって製造されたSn4P3 / C複合膜は、100、200、および400サイクルでそれぞれ約730mAh/g、500mAh/g、および400mAh/gの重量容量を維持する。
・さらに、LiだけでなくNaも、同様の合金化および脱合金化反応によってSn4P3 に吸蔵および放出することができるので、Sn4P3 電極は、はるかに低いコストで次世代Naイオン電池に使用することができる。
<元記事>https://www.mdpi.com/2079-4991/9/7/1032

このような構造体を作る研究は昔から盛んに行われてきた。最近、ベンチャーに投資する企業も増えてきた。
アイディア自体は古くからあるがなかなか実用化するものが現れない。その理由を少し考えてみると他の方と違ったアイディアが浮かぶのではないだろうか。

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23 7月 2019

【論文紹介】An air-stable and waterproof lithium metal anode enabled by wax composite packaging

出典:https://ars.els-cdn.com/

Science Bulletin, 64 (13) 910-917 doi: 10.1016/j.scib.2019.05.025
・リチウム金属負極の表面保護技術。
・リチウム金属表面にワックスとPEO混合物を被覆した。
・被覆方法はディップするだけの簡便な方法。
・ワックスで被覆することで、水分や酸素とリチウム金属の反応を抑制でき、大気中でも24時間安定。
・このコーティングを行った金属負極を用いたLiS電池で300サイクル安定して動作することを実証。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2095927319303196?via=ihub

Li金属関係のベンチャーが乱立している。全固体やFCもそうであるが、周期的にブームがくる。
Li金属負極は電池容量が大きな用途では課題がまだあるが、このような技術の積み重ねで進化していることは間違えない。低容量用途で市場に出してみる価値はあるのかもしれない。

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05 7月 2019

【ニュース】産総研:亜鉛空気電池の二次電池化に資する電解質

・産総研の研究員らは、京都大学らとともに、充放電による劣化を抑制した亜鉛空気二次電池用電解質を開発した。
・塩化亜鉛濃度を限界まで濃くした塩化亜鉛水和物溶融塩を液体電解質として用いることで、揮発性と二酸化炭素の吸収を抑えた。
・これにより、高容量・長寿命の亜鉛空気二次電池の実現へ貢献が期待される。
<元記事>https://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2019/nr20190704/nr20190704.html

揮発性を抑えたり特定のガスの吸収を抑えるような設計思想は、何か他の分野に応用可能な知見になりうる。少し前までは、科学技術の価値はそういう長期的で不確定なものを期待できるユニークなものを許容していたが、最近は当事者でないメディアが過剰に取り上げたり評価する側に配慮がなくなった。そのような理由のせいか、海外に比べると日本の研究は視野が狭い感じを受ける。

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02 7月 2019

【ニュース】米SolidEnergy、Li金属負極で450Wh/kgの容量6Ahの電池を開発 | 日経 xTECH(クロステック)

・米ソリッドエナジー・システムズ(SolidEnergy Systems、SES)は、リチウム(Li)金属負極を使い、セルの質量エネルギー密度が450Wh/kgと高い、容量6Ahの電池「SES Hermes 6Ah」を開発した。
・先進車載電池の国際会議「19th Annual Advanced Automotive Battery Conference(AABC 2019)」(2019年6月24~27日に米国サン・ディエゴで開催)で最高経営責任者(CEO)のQichao Hu氏が明らかにした。
・今回開発した電池のセルは、負極に銅(Cu)に超薄型のLi金属をラミネートしたものを使い、正極にはニッケル(Ni)リッチのニッケル-マンガン-コバルト酸リチウム(NMC)を使っているとみられる。
・セパレーターはセラミックスのフィラー入りのコーティングを施したもで、同氏は安全性を高めているとする。また、負極とセパレーターの間には保護層となるコーティング層を設けている模様だ。
・Liのデンドライト(針状結晶)の生成を抑制する技術も投入しているとみられる
<元記事>https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/event/18/00068/00005/

Liイオン電池のロマンの一つは負極フリー(電池を作った時の状態)であろう。SolidEnergyはそれにチャレンジしているベンチャーである。この調子でいくと来年あたりに計画通り20Ahのモビリティ向けのラインナップが加わるのであろう。

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14 6月 2019

【論文紹介】A Semiliquid Lithium Metal Anode: Joule

出典:https://www.cell.com/

Joule doi: 10.1016/j.joule.2019.05.022
・全固体電池用のリチウム金属負極を半液体状にすることで、固体電解質/負極界面の抵抗を低減した。
・二種の導電性高分子とリチウム金属微粒子を懸濁液として、半液体状のリチウム金属負極(SLMA)を開発した。
・半液体状であるため、全固体電解質と負極との界面は良好に接触し、通常のリチウム金属/固体電解質電池と比較して10倍以上の放電電流が可能となり、且つ、リチウム析出溶解反応の過電圧が減少する。
<元記事>https://www.cell.com/joule/fulltext/S2542-4351(19)30265-X?_returnURL=https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S254243511930265X?showall=true

Li金属の析出溶解界面を増やすことができたために抵抗が小さくなったということであろうか。
サイクルを回しても初期の形状が継続できるのであれば、リチウム金属を使用するブレイクスルーになるかもしれない。

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09 6月 2019

【論文紹介】Customizing a Li–metal battery that survives practical operating conditions for electric vehicle applications

出典:https://pubs.rsc.org/

Energy Environ. Sci. doi: 10.1039/C9EE00716D
・急速充電が可能なリチウム金属電池に関する報告。
・金属負極にLiNO3による前処理を行い、Li2Oリッチ層を賦与。
・電解液はEMC,FECの混合物に1MのLiPF6、0.05MのLithium difluorooxalatoborate (LiODFB)を用いた。
・正極はAlをドープしたLi[Ni0.75Co0.10Mn0.15]O22
・この構成のリチウム金属電池は、4.1mAh/cm2の電流でフル充放電が可能。
・パウチ型セルで500サイクル後の維持率が90%であることを確認。
<元記事>https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2019/EE/C9EE00716D#!divAbstract

入出力特性をグラファイト並みにするのは、何かして表面積を上げなければならない。そうすると違った課題が出てくる。
金属Li負極はこのような表面処理を用いた場合、入出力特性が必要なく、容量が求められる用途向きだろう。

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