05 2月

【論文紹介】Approaching Ultrastable High‐Rate Li–S Batteries through Hierarchically Porous Titanium Nitride Synthesized by Multiscale Phase Separation – Lim – 2019 – Advanced Materials

出典:https://onlinelibrary.wiley.com/

Advanced Materials doi: 10.1002/adma.201806547
・LiS電池の硫黄ホストとしてのマルチスケール多孔質窒化チタン(h-TiN)の提案。
・多孔質のLiS電池ホスト剤に硫黄を充填する方法は他にも試みられているが、本提案は多孔質をマルチスケールにしたTiNを提案。
・大きな穴に硫黄を充填し、より微細な細孔はポリスルフィドの溶解を抑制する。
・結果、h-TiN / Sは5 Cレートで1000サイクル後も557 mAh/gの可逆容量を示し、1サイクルあたりの容量低下はわずか0.016%であることを確認した。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/adma.201806547

海外では硫黄とリチウム金属に最近注目が集まっているように感じる。燃料電池や全固体電池のように、昔から定期的にブームになる。ブームになった背景を分析してみると、いろいろ見えてくるものがある。

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04 2月

【論文紹介(オープンアクセス)】Nanotube-structured Na 2 V 3 O 7 as a Cathode Material for Sodium-Ion Batteries with High-rate and Stable Cycle Performances | Scientific Reports

出典:https://media.springernature.com/

Scientific Reportsvolume 8, Article number: 17199 (2018)
・ナトリウムイオン電池用正極材。
・ハイスループット計算により、4300位上の候補より、ナノチューブ構造のNa2V3O7がNaイオン電池用正極として好適であることを提案。
・合成したナノチューブ構造のNa2V3O7は、5μm程度のサイズにおいても、室温で10Cの電流密度で約65%の容量維持率を示すことを確認。
・充放電中の体積変化が0.4%と小さいことから、50サイクル後にも94%の容量維持率をしめすことを確認。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41598-018-35608-9

基準や比較対象が設定されていないCレートの使用を禁止してほしい。

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29 1月

【論文紹介】A Stable Lithium–Oxygen Battery Electrolyte Based on Fully Methylated Cyclic Ether

出典:https://bioage.typepad.com/

Angew. Chem. Int. Ed. doi: 10.1002/anie.201812983
・リチウム空気電池用電解液について。
・リチウム金属に安定であるという理由からエーテル系電解質が用いられているが、それらはスーパーオキシドや一重項酸素による水素引き抜き反応を介して劣化する。
・そこで、著者らは水素ををすべてメチル基で置換したメチル化環状エーテル、2,2,4,4,5,5-ヘキサメチル-1,3-ジオキソラン(HMD)を提案した。
・エーテルのアルファ位にいかなる水素原子も持たないため、水素の引き抜き反応を抑制できる。
・結果、HMDを用いたリチウム空気電池は、一般的な1,3-ジオキソラン(DOL)または1,2-ジメトキシエタン(DME)をベースにした電解液を使用した場合の4倍以上の157サイクルまで充放電が可能であった。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/anie.201812983

空気電池に限らずLi金属を活物質に使用できるよう取り組んでいる研究活動は多い。優れた結果を出すことも重要であるが、そのメカニズム解明は、研究を促進させるためにも重要である。
今回の研究のように仮説とその検証の積み上げていくことで、Li金属の実用化が近くのではないだろうか。

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20 1月

【ニュース】次世代2次電池に中国も名乗り、第4の固体電解質が台頭 | 日経 xTECH(クロステック)

・次世代2次電池の開発は、最近は海外メーカーの動きが目立つ。
・全固体電池の量産に中国メーカーが名乗りを上げ、負極でSi系活物質の割合を80~100重量%に高めたと主張する例も出てきた。
・一方で、次世代正極の利用は電解液の分解という壁にぶつかっている。
・今後の大きな発展には、液体、固体を問わず次世代電解質の開発がカギを握っている。
<元記事>https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/mag/ne/18/00036/00002/

このような電解質が鍵というような風潮はいかがなものであろうか。手段の一つではあることは間違えないが。
このようなニュースはどのような業種の方にメリットが生まれるのであろうか?

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08 1月

【論文紹介】Three-dimensional monolithic corrugated graphene/Ni foam for highly stable and efficient Li metal electrode – ScienceDirect

出典:https://bioage.typepad.com/

Journal of Power Sources Volume 413, Pages 467-475 doi: 10.1016/j.jpowsour.2018.12.075
・リチウム金属電池の金属負極の保護層に関する報告。
・ニッケルフォーム上に三次元モノリシック波形グラフェンを形成した。
・最初のリチウム金属析出中に、リチウムイオンはグラフェンシート端面の境界に挿入される。
・ 次いで、リチウム金属が核形成し、グラフェンシートの下側に成長するため、デンドライト形成を抑制できる。
・さらに、波形グラフェンが人工SEIの機能を果たすことで、カーボネート系電解液の分解を抑制する。
・よって、この三次元モノリシック波形グラフェンを形成したニッケルフォームを用いることで、カーボネート系電解液で1000サイクルにも渡って安定なサイクルを行うことができた。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0378775318314265?via=ihub


◯解説:
最近、Li金属を使いこなすことに注目が集まっている。電解液やこの研究のように表面修飾する研究が多いように感じる。
この研究は負極フリーも意識しているのであろうか。
海外のベンチャー企業の多くが注目している。実用化するめどがつけば電池容量を飛躍的に向上するのは間違えない。

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24 12月

【論文紹介】Directing Mg-Storage Chemistry in Organic Polymers toward High-Energy Mg Batteries – ScienceDirect

出典:https://ars.els-cdn.com/

Joule doi: 10.1016/j.joule.2018.11.022
・トヨタのアメリカ研究所とヒューストン大学の研究者らによるマグネシウム電池に関する報告。
・これまでMg電池用の正極として シェブレル構造の硫化モリブデンが一般的であったが、Mgイオンの伝導が遅く、容量も出力もリチウムイオン電池を上回る電池を作製することはできていない。
・本報告では、キノン系の有機正極、負極にマグネシウム金属、塩化物フリーの電解液を用いて、高容量(243Wh/kg)、高出力(3400W/kg)のマグネシウム電池を達成した。
・この電池は2500サイクル後にも87%の容量を維持した。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2542435118305713?via=ihub


◯解説:
kg に市場の電池の構造が加味されておらず誤解を招くかもしれない。
さて、先日もMg電池の論文を本サイトで取り上げた。

【論文紹介】Tailoring the electrochemical activity of magnesium chromium oxide towards Mg batteries through control of size and crystal structure – Nanoscale


それを踏まえて、この論文の価値を考えてみる。
学術的には大変面白いかもしれない。
2価のイオンを無機物のように骨格が固定の材料に収納するのではなく、比較的フレキシブルな骨格に収納している。それにより、2価のイオンが伝導しやすくなっているのかもしれない。
イオンの伝導は、電子と比較して研究が進んでいない。その理由として、大きな質量と体積を持つため難易度が極端に上がる。また、その見かけ上の体積が変化する。
このような研究をきっかけに伝導の理解を高める研究が進むことを期待したい。

【論文紹介】Tailoring the electrochemical activity of magnesium chromium oxide towards Mg batteries through control of size and crystal structure – Nanoscale

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23 12月

【論文紹介】High-areal-capacity lithium-sulfur cathode achieved by a boron-doped carbon-sulfur aerogel with consecutive core-shell structures – Chemical Communications

出典:https://bioage.typepad.com/

Chem. Commun. doi: 10.1039/C8CC07594H
・LiS電池用S系正極として、コアーシェル構造のホウ素ドープカーボンと硫黄のエアロゲルを提案。
・S系正極の課題である、”ポリスルフィドのシャトル”と”活物質自身の低電気伝導度”を解決すべく、ホウ素(B)ドープ炭素をシェルとし、硫黄球をコアとしたコアシェル構造のエアロゲルを合成。
・このシェルはポリスルフィドを物理的に閉じ込め、高い導電性を有する。
・この活物質を用いたLIS電池は、13.5mg cm2の硫黄目付けで、1326mAh / gの高い比容量を確認。
・500サイクルまで99.8%の高いクーロン効率を示す。
<元記事>https://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2018/CC/C8CC07594H#!divAbstract


◯解説:
http://lithiumion.info/myblog/?p=18810
リンク先の技術は活物質自体の開発で、この論文は硫黄を使いこなすシステムの開発である。
どちらが優位かは実際にプレーヤーが自ら作製・評価して検証して行くしかない。
最近の電池技術の多くは、性能を向上させることが目的のもので唯一無二の方法ではなく対抗技術が存在する。市場を獲得するにはそのような対応技術を把握しておくことが必要である。もしくは、市場が成熟する前に一気に投資して先に採用されるかであろう。最近、中国で後者の傾向が強い。技術的な正しさだけを考えていると競争に負けるようなこともあり得るのではないだろうか。

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22 12月

【論文紹介】Lithium phosphorus oxynitride as an efficient protective layer on lithium metal anodes for advanced lithium-sulfur batteries

出典:https://ars.els-cdn.com/

Energy Storage Materials doi: 10.1016/j.ensm.2018.08.010
・LiS電池のリチウム金属負極の保護剤として固体電解質LiPONを用いた。
・LiPONで金属負極を保護することで、ポリスルフィドのシャトル(金属極での還元)とリチウムデンドライトの成長を抑制できることを確認。
・硫黄目付量7mg/cm2で300Wh/kgのエネルギー密度、120サイクル以上に渡って91%の安定したクーロン効率を示すLiS電池を作製できた。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S240582971830792X?via=ihub


◯解説:
LIBのSEIもそうであるが、保護膜は使用したり時間が経つと劣化する。化学反応が劣化要因の場合、その劣化を完全に防ぐことはできない。なので、その劣化が商品を保証したい期間中に不具合を出すようなことがないように制御できるかを見極めるのが重要である。
今回の研究成果もLIS電池の商品性を向上されるのに寄与すると思われる。その向上の程度は市場の要求を満足するものなのだろうか?論文からはなかなか見積もるのは難しいが、興味がある。

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21 12月

【論文紹介】Tailoring the electrochemical activity of magnesium chromium oxide towards Mg batteries through control of size and crystal structure – Nanoscale

出典:https://pubs.rsc.org/

Nanoscale, 2019, Advance Article 、DOI:10.1039/C8NR08347A
・マグネシウム電池用の高電圧正極として注目されているスピネルクロム酸化物の結晶欠陥制御による充放電特性を調べた。
・バッチ式の水熱合成で7nmの秩序だった結晶構造で制御されたMgCr2O4と、フロー水熱合成(CHFS)で結晶欠陥を多く含むMgCr2O4を合成し、電池特性を比較した。
・その結果、明らかに欠陥を多く含むMgCr2O4のほうが可逆な充放電容量が増大することを確認。
・この理由として、欠陥が多い無秩序な構造が新たなMgイオンの拡散経路を形成し、結晶構造の乱れが表面積を増大させたためと推測。
<元記事>https://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2019/NR/C8NR08347A#!divAbstract


◯解説:
イオンを単位体積あたりに貯められる数は、挿入脱離型であればクーロン引力斥力、コンバーション型であればイオン半径と共有結合の強さを比較すれば、高度な計算を使わなくてもある程度想定できる。それと材料の組成と結晶構造で決まる電位から電池の期待できるエネルギー密度は算出できる。
今、材料があるかないかは無視して、原理原則から正当にLiイオンとMgイオンを使った電池を「正当に」比較すれば、エネルギー密度(特に体積あたり)では、Mgイオン電池の価値は見出せない。出入力を加味すると、さらにその差は広がる。
ただ、イオンの性質や電解液に着目すれば、一次電池や特異的な環境で使える電池として可能性がある。

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20 12月

【論文紹介】Suppressing corrosion in primary aluminum–air batteries via oil displacement | Science

Science 09 Nov 2018:Vol. 362, Issue 6415, pp. 658-661 DOI: 10.1126/science.aat9149
・MIT研究チームによるアルミニウム空気電池の自己放電抑制技術を開発。
・アルミニウム空気電池の課題の一つが、空気極側からの水分の侵入により、アルミニウム金属が腐食され、自己放電が大きくなること。
・今回、電池の待機時にアルミニウム表面を油で覆うことで自己放電を抑制する。
・再び電池を使用する際はポンプで油を迅速に排出する。
<元記事>http://science.sciencemag.org/content/362/6415/658
 


◯解説:
アメリカの大学は、実用化できるかは置いておいてユニークなアイディアの研究が多い。
実用的なことを考えると複雑になりすぎるが、一つの問題だけを抽出してそれだけを解決するアイディアを出すようなやり方だとこういう研究ができるのかもしれない。一見、無駄にも感じてしまうが、周辺の問題も解決してくると、この研究の価値が出てくるということもあるかもしれない。
この考え方は、トヨタ問題解決法に類似している。トヨタの研究はそのような考え方で運営している面がある。それを理解しない外野が、間違った解釈をしているのを目にする。

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