16 4月 2019

【コラム】リチウムイオン電池の限界と次世代のバッテリー開発競争(前):データ・マックス NETIB-NEWS

・現在主流のリチウムイオンバッテリーは、発熱の問題や、大容量化など、さまざまな限界を抱えており、それを解決すべく次世代のバッテリー技術の研究が、世界各国で活発に進められている。今回は次世代バッテリーの開発状況について取り上げてみよう。
・電池のなかで一番性能が良いリチウムイオン電池も、改善されてはきたものの、電気自動車などに使うには限界がある。
・まず、リチウムイオン電池の安全性についての問題がある。リチウムイオン電池は、電解液に有機化合物の液体が使われている。
・二番目に、エネルギー密度の問題がある。ニッケル水素電池の体積あたりエネルギー密度は70Wh/kgで、それに比べると、数倍以上のエネルギー密度を現在のリチウムイオン電池は実現している。しかし、現在のエネルギー密度では、電気自動車のバッテリーのサイズはどうしても大きくなり、高エネルギー密度のバッテリー開発が求められている・・・・
<元記事>https://www.data-max.co.jp/article/28959

500Wh/kgが限界なら相当な伸びがまだある気がするが、そこが論点ではないのであろう。
ここで指摘してるように電池は化学反応で劣化する。自動車むけで化学劣化するものは油剤などである。そのような部品材料は容易に交換可能な仕組みになっているのが自動車である。LIBの場合、それができない。全固体になったとしてもその問題はつきまとうはずである。

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16 4月 2019

【ニュース】日本特殊陶、月面で「次世代電池」実験=21年に探査計画参加:時事ドットコム

・電気自動車(EV)の飛躍的な性能向上につながる次世代電池「全固体電池」の開発を進めるため、自動車用点火プラグ大手の日本特殊陶業は2021年に、月面探査計画に参加する。
・月面着陸船などに自社の電池を搭載。過酷な環境でも活躍できる性能や耐久性をPRし、新ビジネスにつなげたい考えだ。
<元記事>https://www.jiji.com/jc/article?k=2019041500552&g=eco

最近の研究は、商品を意識したものが少なくなっている。このように最終商品を作ることを目的として、研究開発をすると色々な経験と知見が得られる。これ自体がビジネスにならなくても、次のアクションをおこすベースは確実のできる。多くの企業でもこのようなやり方を取り入れていってほしい。

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31 3月 2019

【論文紹介】Intercalation-conversion hybrid cathodes enabling Li–S full-cell architectures with jointly superior gravimetric and volumetric energy densities | Nature Energy

出典:https://media.springernature.com/

Nature Energy doi: 10.1038/s41560-019-0351-0
・MITの研究者らが、LiS電池用の新しいハイブリット型の正極を開発。
・ハイブリット型正極とは、インターカレーション型Mo6S8とコンバージョン型硫黄(HMSC)の組み合わせ。
・現在LiS電池の多くの報告は、Sの高い理論用にもかかわらず、導電剤の量が多いなど、活物質のロード量が少なく、フルセルとしてのエネルギー密度を十分に取り出すことはできていない。
・高速なリチウムイオン輸送能、高い電子伝導性、およびリチウムポリスルフィドに対する高い親和性を有する、Mo6S8は、硫黄種を固定化する理想的な骨格となりうる。
・これにより、導電剤の量を10wt%程度に減少させることができ、プレスによって高密度化(空隙率55vol%)することができる。
・このハイブリット型正極を用いたLiS電池は、366Wh/kgの重量エネルギー密度および581Wh/Lの体積エネルギー密度を達成。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41560-019-0351-0

05 2月 2019

【論文紹介】Approaching Ultrastable High‐Rate Li–S Batteries through Hierarchically Porous Titanium Nitride Synthesized by Multiscale Phase Separation – Lim – 2019 – Advanced Materials

出典:https://onlinelibrary.wiley.com/

Advanced Materials doi: 10.1002/adma.201806547
・LiS電池の硫黄ホストとしてのマルチスケール多孔質窒化チタン(h-TiN)の提案。
・多孔質のLiS電池ホスト剤に硫黄を充填する方法は他にも試みられているが、本提案は多孔質をマルチスケールにしたTiNを提案。
・大きな穴に硫黄を充填し、より微細な細孔はポリスルフィドの溶解を抑制する。
・結果、h-TiN / Sは5 Cレートで1000サイクル後も557 mAh/gの可逆容量を示し、1サイクルあたりの容量低下はわずか0.016%であることを確認した。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/adma.201806547

海外では硫黄とリチウム金属に最近注目が集まっているように感じる。燃料電池や全固体電池のように、昔から定期的にブームになる。ブームになった背景を分析してみると、いろいろ見えてくるものがある。

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04 2月 2019

【論文紹介(オープンアクセス)】Nanotube-structured Na 2 V 3 O 7 as a Cathode Material for Sodium-Ion Batteries with High-rate and Stable Cycle Performances | Scientific Reports

出典:https://media.springernature.com/

Scientific Reportsvolume 8, Article number: 17199 (2018)
・ナトリウムイオン電池用正極材。
・ハイスループット計算により、4300位上の候補より、ナノチューブ構造のNa2V3O7がNaイオン電池用正極として好適であることを提案。
・合成したナノチューブ構造のNa2V3O7は、5μm程度のサイズにおいても、室温で10Cの電流密度で約65%の容量維持率を示すことを確認。
・充放電中の体積変化が0.4%と小さいことから、50サイクル後にも94%の容量維持率をしめすことを確認。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41598-018-35608-9

基準や比較対象が設定されていないCレートの使用を禁止してほしい。

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29 1月 2019

【論文紹介】A Stable Lithium–Oxygen Battery Electrolyte Based on Fully Methylated Cyclic Ether

出典:https://bioage.typepad.com/

Angew. Chem. Int. Ed. doi: 10.1002/anie.201812983
・リチウム空気電池用電解液について。
・リチウム金属に安定であるという理由からエーテル系電解質が用いられているが、それらはスーパーオキシドや一重項酸素による水素引き抜き反応を介して劣化する。
・そこで、著者らは水素ををすべてメチル基で置換したメチル化環状エーテル、2,2,4,4,5,5-ヘキサメチル-1,3-ジオキソラン(HMD)を提案した。
・エーテルのアルファ位にいかなる水素原子も持たないため、水素の引き抜き反応を抑制できる。
・結果、HMDを用いたリチウム空気電池は、一般的な1,3-ジオキソラン(DOL)または1,2-ジメトキシエタン(DME)をベースにした電解液を使用した場合の4倍以上の157サイクルまで充放電が可能であった。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/anie.201812983

空気電池に限らずLi金属を活物質に使用できるよう取り組んでいる研究活動は多い。優れた結果を出すことも重要であるが、そのメカニズム解明は、研究を促進させるためにも重要である。
今回の研究のように仮説とその検証の積み上げていくことで、Li金属の実用化が近くのではないだろうか。

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20 1月 2019

【ニュース】次世代2次電池に中国も名乗り、第4の固体電解質が台頭 | 日経 xTECH(クロステック)

・次世代2次電池の開発は、最近は海外メーカーの動きが目立つ。
・全固体電池の量産に中国メーカーが名乗りを上げ、負極でSi系活物質の割合を80~100重量%に高めたと主張する例も出てきた。
・一方で、次世代正極の利用は電解液の分解という壁にぶつかっている。
・今後の大きな発展には、液体、固体を問わず次世代電解質の開発がカギを握っている。
<元記事>https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/mag/ne/18/00036/00002/

このような電解質が鍵というような風潮はいかがなものであろうか。手段の一つではあることは間違えないが。
このようなニュースはどのような業種の方にメリットが生まれるのであろうか?

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08 1月 2019

【論文紹介】Three-dimensional monolithic corrugated graphene/Ni foam for highly stable and efficient Li metal electrode – ScienceDirect

出典:https://bioage.typepad.com/

Journal of Power Sources Volume 413, Pages 467-475 doi: 10.1016/j.jpowsour.2018.12.075
・リチウム金属電池の金属負極の保護層に関する報告。
・ニッケルフォーム上に三次元モノリシック波形グラフェンを形成した。
・最初のリチウム金属析出中に、リチウムイオンはグラフェンシート端面の境界に挿入される。
・ 次いで、リチウム金属が核形成し、グラフェンシートの下側に成長するため、デンドライト形成を抑制できる。
・さらに、波形グラフェンが人工SEIの機能を果たすことで、カーボネート系電解液の分解を抑制する。
・よって、この三次元モノリシック波形グラフェンを形成したニッケルフォームを用いることで、カーボネート系電解液で1000サイクルにも渡って安定なサイクルを行うことができた。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0378775318314265?via=ihub


◯解説:
最近、Li金属を使いこなすことに注目が集まっている。電解液やこの研究のように表面修飾する研究が多いように感じる。
この研究は負極フリーも意識しているのであろうか。
海外のベンチャー企業の多くが注目している。実用化するめどがつけば電池容量を飛躍的に向上するのは間違えない。

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24 12月 2018

【論文紹介】Directing Mg-Storage Chemistry in Organic Polymers toward High-Energy Mg Batteries – ScienceDirect

出典:https://ars.els-cdn.com/

Joule doi: 10.1016/j.joule.2018.11.022
・トヨタのアメリカ研究所とヒューストン大学の研究者らによるマグネシウム電池に関する報告。
・これまでMg電池用の正極として シェブレル構造の硫化モリブデンが一般的であったが、Mgイオンの伝導が遅く、容量も出力もリチウムイオン電池を上回る電池を作製することはできていない。
・本報告では、キノン系の有機正極、負極にマグネシウム金属、塩化物フリーの電解液を用いて、高容量(243Wh/kg)、高出力(3400W/kg)のマグネシウム電池を達成した。
・この電池は2500サイクル後にも87%の容量を維持した。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2542435118305713?via=ihub


◯解説:
kg に市場の電池の構造が加味されておらず誤解を招くかもしれない。
さて、先日もMg電池の論文を本サイトで取り上げた。

【論文紹介】Tailoring the electrochemical activity of magnesium chromium oxide towards Mg batteries through control of size and crystal structure – Nanoscale


それを踏まえて、この論文の価値を考えてみる。
学術的には大変面白いかもしれない。
2価のイオンを無機物のように骨格が固定の材料に収納するのではなく、比較的フレキシブルな骨格に収納している。それにより、2価のイオンが伝導しやすくなっているのかもしれない。
イオンの伝導は、電子と比較して研究が進んでいない。その理由として、大きな質量と体積を持つため難易度が極端に上がる。また、その見かけ上の体積が変化する。
このような研究をきっかけに伝導の理解を高める研究が進むことを期待したい。

【論文紹介】Tailoring the electrochemical activity of magnesium chromium oxide towards Mg batteries through control of size and crystal structure – Nanoscale

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23 12月 2018

【論文紹介】High-areal-capacity lithium-sulfur cathode achieved by a boron-doped carbon-sulfur aerogel with consecutive core-shell structures – Chemical Communications

出典:https://bioage.typepad.com/

Chem. Commun. doi: 10.1039/C8CC07594H
・LiS電池用S系正極として、コアーシェル構造のホウ素ドープカーボンと硫黄のエアロゲルを提案。
・S系正極の課題である、”ポリスルフィドのシャトル”と”活物質自身の低電気伝導度”を解決すべく、ホウ素(B)ドープ炭素をシェルとし、硫黄球をコアとしたコアシェル構造のエアロゲルを合成。
・このシェルはポリスルフィドを物理的に閉じ込め、高い導電性を有する。
・この活物質を用いたLIS電池は、13.5mg cm2の硫黄目付けで、1326mAh / gの高い比容量を確認。
・500サイクルまで99.8%の高いクーロン効率を示す。
<元記事>https://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2018/CC/C8CC07594H#!divAbstract


◯解説:
http://lithiumion.info/myblog/?p=18810
リンク先の技術は活物質自体の開発で、この論文は硫黄を使いこなすシステムの開発である。
どちらが優位かは実際にプレーヤーが自ら作製・評価して検証して行くしかない。
最近の電池技術の多くは、性能を向上させることが目的のもので唯一無二の方法ではなく対抗技術が存在する。市場を獲得するにはそのような対応技術を把握しておくことが必要である。もしくは、市場が成熟する前に一気に投資して先に採用されるかであろう。最近、中国で後者の傾向が強い。技術的な正しさだけを考えていると競争に負けるようなこともあり得るのではないだろうか。

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