28 7月 2019

【論文紹介】Designing a safe electrolyte enabling long‐life Li/S batteries

ChemSusChem doi: 10.1002/cssc.201901770
・LiS電池用の電解液添加剤としてイオン液体Py1,4 TFSIを用いた。
・Py1,4 TFSIはリチウム金属表面のSEIを安定化させ、また、溶媒の燃焼性を低下させる。
・さらに、Py1,4 TFSI添加剤を用いたLiS電池では、溶出したSの負極上の堆積を減少させる効果が認められた。
・同様の効果が報告されている添加剤としてLiNO3が知られているが、LiNO3は消費型の添加剤であり、特に定電流で消費されるため、サイクル寿命はLiNO3濃度に依存する。
・高硫黄質量負荷(4 mg/cm-2)のLi / S電池は、LiNO3添加剤を使用する電池の2倍以上の600 mAh g -1の安定した容量を示した。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/cssc.201901770

根本的な解決というよりは、劣化を遅らせるといったようなイメージであろうか。
電池は全く劣化させないというのは困難である。目的の用途に合わせて、許容できる劣化に抑えられるように設計して製品を作っている。
研究では、独特の条件で行なっているのもが多い。もう少し製品を見据えた条件で行えば、開発側の目に止まって実用化が見えてくることもあるかもしれない。

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24 7月 2019

【ニュース】次世代蓄電池の大本命?リチウム硫黄電池がついに実用化 ドローン、無人飛行機、EVなどに搭載

・次世代蓄電池のなかで、大きな期待を集めているのがリチウム硫黄電池(LiSB)。
・低コスト化、それにLiB以上の高エネルギー密度化が実現できる。
・OXIS Energy(英オックスフォードシャイア)のように生産計画を進めているメーカーもある。
・最大の課題は、少ないサイクル回数。
・国内では国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)の産官学プロジェクト「先端的低炭素化技術開発 次世代蓄電池(ALCA-SPRINGS)」で研究開発が活発に行われている。
<元記事>https://limo.media/articles/-/12299

サイクルは極端な事を言えばLIS電池の場合、割り切って諦めればいいのではないだろうか。本当の課題は、用途に合わせたシステムを設計した場合、メリットが出せるかどうかではないだろうか。加温が必要であった出力が足りないなど、そちらの方が実用化には課題が多いと思う。

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09 6月 2019

【論文紹介】Customizing a Li–metal battery that survives practical operating conditions for electric vehicle applications

出典:https://pubs.rsc.org/

Energy Environ. Sci. doi: 10.1039/C9EE00716D
・急速充電が可能なリチウム金属電池に関する報告。
・金属負極にLiNO3による前処理を行い、Li2Oリッチ層を賦与。
・電解液はEMC,FECの混合物に1MのLiPF6、0.05MのLithium difluorooxalatoborate (LiODFB)を用いた。
・正極はAlをドープしたLi[Ni0.75Co0.10Mn0.15]O22
・この構成のリチウム金属電池は、4.1mAh/cm2の電流でフル充放電が可能。
・パウチ型セルで500サイクル後の維持率が90%であることを確認。
<元記事>https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2019/EE/C9EE00716D#!divAbstract

入出力特性をグラファイト並みにするのは、何かして表面積を上げなければならない。そうすると違った課題が出てくる。
金属Li負極はこのような表面処理を用いた場合、入出力特性が必要なく、容量が求められる用途向きだろう。

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29 5月 2019

【ニュース】マグネシウム二次電池に適した新たな電極材料を開発 東京理科大 | fabcross for エンジニア

・東京理科大学は2019年5月24日、マグネシウム二次電池のカソード候補となる岩塩型物質の合成に成功した。
・マグネシウム二次電池はエネルギー密度が高くかつ毒性も低いことから、現在主流のリチウムイオン電池に代わる次世代の二次電池として期待されている。しかし、適切なカソード材料や電解質が見つからなかったため、これまで実用化が進まなかった。
・今回、東京理科大学の井出本康教授などの研究グループは、新たにコバルト置換MgNiO2を合成し、マグネシウム二次電池のカソードとして有望な性質を示すことを発見した。
<元記事>https://engineer.fabcross.jp/archeive/20190528_tus.html
<プレスリリース>https://www.tus.ac.jp/mediarelations/archive/20190524003.html

Mgはすでに緊急用電源の一次電池で実用化されている。これは、Mgの特性を生かした商品である。一方で、二次電池としてエネルギー密度を目指す研究は厳しい事実は認めざるを得ないであろう。
多価イオンの基礎研究の重要性は高い。サイエンスの重要性を主張してもお金が取れない実情が問題なのかもしれない。

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22 5月 2019

【論文紹介】A linear molecule sulfur-rich organic cathode material for high performance lithium–sulfur batteries – ScienceDirect

出典:https://bioage.typepad.com/

Journal of Power Sources Volume 430, Pages 210-217 doi: 10.1016/j.jpowsour.2019.05.022
・北京のBeihang大学の研究者らは、LiS電池用の硫黄カソードとして線状分子硫黄豊富有機材料を開発した。
・線上の分子にすることで、硫黄の高いローディング量を実現し、且つ、ポリスルフィドの溶解を抑制する。
・ テトラメチルチウラムジスルフィド – 硫黄(TMTD − S)カソード材料は、0.2Cで685mAh/gの初期容量で、200サイクル後に540mAh/gの容量を維持する。
・さらに、Ketjen Black導電剤やカーボンクロス集電体を用いることで、1054mAh/gの初期容量を示す。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0378775319305713?via=ihub

LIS電池というより、有機活物質電池に近いのかもしれない。自動車用には厳しいが、軽い電池は新しい用途を生み出す可能性がある。また、安価で遷移金属を用いないで電池を構成できればウエアラブル領域などで市場を得られるかもしれない。

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02 5月 2019

【論文紹介】Rechargeable Ultrahigh-capacity Tellurium-Aluminum Batteries

出典:https://bioage.typepad.com/

Energy & Environmental Science doi: 10.1039/C9EE00862D
・北京工科大学の研究者らは、北京工科大学の同僚と共に、超高容量のテルル – アルミニウム二次電池(TAB)を構築するためのテルルナノワイヤ正極の可能性を実証した。
・既報のアルミニウムイオン電池正極のカルコゲン(硫黄、セレン)は100mAh/gを超える容量が報告されているが、電気伝導性が低いため、導電剤が多量に必要であり、電極としては大きな容量は取り出せない。
・今回、カルコゲンの中では導電性の高いテルルに着目し、テルルナノワイヤを合成した。
・さらに、可溶性のテルルクロロアルミネート化合物のシャトル効果を抑制する目的で、還元グラフェン酸化物の導電助剤と、セパレータへのカーボンナノチューブの修飾を行った。
・これにより、1.4Vの平均電圧で1260mAh/gのアルミニウムイオン電池用正極を実証した。
<元記事>https://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2019/EE/C9EE00862D#!divAbstract

Alイオンの特徴を生かすには軽さではないだろうか。このような材料の選択はそれを生かすものである。さらに生かすには、外装材料を簡略化していく必要がある。そうすると電解液にもうひと工夫ほしいところである。

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25 4月 2019

【ニュース】冨士色素、全固体型のアルミニウム-空気二次電池の開発に成功 (2019年4月24日) – エキサイトニュース

・冨士色素は4月24日、電解質にイオン液体類似の深共晶溶媒系の電解液を用いたアルミニウム – 空気電池を開発。
・さらに、これらの電解液に最適な添加剤を複合化させることで、全固体型のアルミニウム空気二次電池を作成することに成功したと発表。
・同社は、金属 – 空気電池として安価なアルミニウムに着目した研究を行ってきた。その理論容量はリチウムイオン電池の150~250Wh/kgと比較すると最大で54倍となる8100Wh/kgと、飛躍的に電池容量を増加させる可能性がある。
<元記事>https://www.excite.co.jp/news/article/Cobs_1902170/

空気電池など化学反応を電池反応として使用するシステムは、高い容量を実現できるが充放電効率が悪い。二次電池として使用するのであれば、実用化した時に問題になる。特に電池容量が大きな仕様では。
エネルギー密度や容量は確かにわかりやすい性能であるが、電池の進化を考えるのであればどのように使用されるかを意識した研究にシフトしていくことを期待したい。

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16 4月 2019

【コラム】リチウムイオン電池の限界と次世代のバッテリー開発競争(前):データ・マックス NETIB-NEWS

・現在主流のリチウムイオンバッテリーは、発熱の問題や、大容量化など、さまざまな限界を抱えており、それを解決すべく次世代のバッテリー技術の研究が、世界各国で活発に進められている。今回は次世代バッテリーの開発状況について取り上げてみよう。
・電池のなかで一番性能が良いリチウムイオン電池も、改善されてはきたものの、電気自動車などに使うには限界がある。
・まず、リチウムイオン電池の安全性についての問題がある。リチウムイオン電池は、電解液に有機化合物の液体が使われている。
・二番目に、エネルギー密度の問題がある。ニッケル水素電池の体積あたりエネルギー密度は70Wh/kgで、それに比べると、数倍以上のエネルギー密度を現在のリチウムイオン電池は実現している。しかし、現在のエネルギー密度では、電気自動車のバッテリーのサイズはどうしても大きくなり、高エネルギー密度のバッテリー開発が求められている・・・・
<元記事>https://www.data-max.co.jp/article/28959

500Wh/kgが限界なら相当な伸びがまだある気がするが、そこが論点ではないのであろう。
ここで指摘してるように電池は化学反応で劣化する。自動車むけで化学劣化するものは油剤などである。そのような部品材料は容易に交換可能な仕組みになっているのが自動車である。LIBの場合、それができない。全固体になったとしてもその問題はつきまとうはずである。

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16 4月 2019

【ニュース】日本特殊陶、月面で「次世代電池」実験=21年に探査計画参加:時事ドットコム

・電気自動車(EV)の飛躍的な性能向上につながる次世代電池「全固体電池」の開発を進めるため、自動車用点火プラグ大手の日本特殊陶業は2021年に、月面探査計画に参加する。
・月面着陸船などに自社の電池を搭載。過酷な環境でも活躍できる性能や耐久性をPRし、新ビジネスにつなげたい考えだ。
<元記事>https://www.jiji.com/jc/article?k=2019041500552&g=eco

最近の研究は、商品を意識したものが少なくなっている。このように最終商品を作ることを目的として、研究開発をすると色々な経験と知見が得られる。これ自体がビジネスにならなくても、次のアクションをおこすベースは確実のできる。多くの企業でもこのようなやり方を取り入れていってほしい。

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31 3月 2019

【論文紹介】Intercalation-conversion hybrid cathodes enabling Li–S full-cell architectures with jointly superior gravimetric and volumetric energy densities | Nature Energy

出典:https://media.springernature.com/

Nature Energy doi: 10.1038/s41560-019-0351-0
・MITの研究者らが、LiS電池用の新しいハイブリット型の正極を開発。
・ハイブリット型正極とは、インターカレーション型Mo6S8とコンバージョン型硫黄(HMSC)の組み合わせ。
・現在LiS電池の多くの報告は、Sの高い理論用にもかかわらず、導電剤の量が多いなど、活物質のロード量が少なく、フルセルとしてのエネルギー密度を十分に取り出すことはできていない。
・高速なリチウムイオン輸送能、高い電子伝導性、およびリチウムポリスルフィドに対する高い親和性を有する、Mo6S8は、硫黄種を固定化する理想的な骨格となりうる。
・これにより、導電剤の量を10wt%程度に減少させることができ、プレスによって高密度化(空隙率55vol%)することができる。
・このハイブリット型正極を用いたLiS電池は、366Wh/kgの重量エネルギー密度および581Wh/Lの体積エネルギー密度を達成。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41560-019-0351-0