30 8月 2019

【ニュース】世界初の充電可能な「鉄イオン電池」が開発される、高エネルギー効率でリチウムイオン電池より安全 – GIGAZINE

・インド工科大学マドラス校の研究者たちが新たに鉄イオン電池を開発したと発表した。
・鉄は他の金属に比べより安価で、イオン半径がリチウムイオンと同程度に小さく、酸化還元電位がリチウムイオンよりも高いというメリットが存在するが、これまで充電式の金属イオン電池の材料としては見逃されてきたとのこと
・開発された鉄イオン電池は、片方の電極に金属酸化物を、もう1つの電極に軟鋼が使用されたもの。このデザインによりチームはリチウムイオン電池の60%のパフォーマンスを生み出すことに成功した。
・鉄は充電中にデンドライト(樹枝)状にならないため、短絡が起こりにくいと研究者は述べています。このため、リチウムイオン電池に比べてコスト効率が高く、ショートなどの危険性が低くなる
・この研究は鉄が多価イオンの電荷キャリアとして使用できることを証明した始めてのもの。
<元記事>https://gigazine.net/news/20190827-iron-ion-battery/

研究としては面白いのではないだろうか。アニオンカチオン様々なイオンを動かして電池にする研究が増えてきた。
価数の大きなキャリアを使うことを重量エネルギー密度でメリットとする研究が多いが、価数が高いことで生じるクーロン力を加味すると、そのメリットを実現するには厳しい現実がある。

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29 5月 2019

【ニュース】マグネシウム二次電池に適した新たな電極材料を開発 東京理科大 | fabcross for エンジニア

・東京理科大学は2019年5月24日、マグネシウム二次電池のカソード候補となる岩塩型物質の合成に成功した。
・マグネシウム二次電池はエネルギー密度が高くかつ毒性も低いことから、現在主流のリチウムイオン電池に代わる次世代の二次電池として期待されている。しかし、適切なカソード材料や電解質が見つからなかったため、これまで実用化が進まなかった。
・今回、東京理科大学の井出本康教授などの研究グループは、新たにコバルト置換MgNiO2を合成し、マグネシウム二次電池のカソードとして有望な性質を示すことを発見した。
<元記事>https://engineer.fabcross.jp/archeive/20190528_tus.html
<プレスリリース>https://www.tus.ac.jp/mediarelations/archive/20190524003.html

Mgはすでに緊急用電源の一次電池で実用化されている。これは、Mgの特性を生かした商品である。一方で、二次電池としてエネルギー密度を目指す研究は厳しい事実は認めざるを得ないであろう。
多価イオンの基礎研究の重要性は高い。サイエンスの重要性を主張してもお金が取れない実情が問題なのかもしれない。

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02 5月 2019

【論文紹介】Rechargeable Ultrahigh-capacity Tellurium-Aluminum Batteries

出典:https://bioage.typepad.com/

Energy & Environmental Science doi: 10.1039/C9EE00862D
・北京工科大学の研究者らは、北京工科大学の同僚と共に、超高容量のテルル – アルミニウム二次電池(TAB)を構築するためのテルルナノワイヤ正極の可能性を実証した。
・既報のアルミニウムイオン電池正極のカルコゲン(硫黄、セレン)は100mAh/gを超える容量が報告されているが、電気伝導性が低いため、導電剤が多量に必要であり、電極としては大きな容量は取り出せない。
・今回、カルコゲンの中では導電性の高いテルルに着目し、テルルナノワイヤを合成した。
・さらに、可溶性のテルルクロロアルミネート化合物のシャトル効果を抑制する目的で、還元グラフェン酸化物の導電助剤と、セパレータへのカーボンナノチューブの修飾を行った。
・これにより、1.4Vの平均電圧で1260mAh/gのアルミニウムイオン電池用正極を実証した。
<元記事>https://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2019/EE/C9EE00862D#!divAbstract

Alイオンの特徴を生かすには軽さではないだろうか。このような材料の選択はそれを生かすものである。さらに生かすには、外装材料を簡略化していく必要がある。そうすると電解液にもうひと工夫ほしいところである。

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24 12月 2018

【論文紹介】Directing Mg-Storage Chemistry in Organic Polymers toward High-Energy Mg Batteries – ScienceDirect

出典:https://ars.els-cdn.com/

Joule doi: 10.1016/j.joule.2018.11.022
・トヨタのアメリカ研究所とヒューストン大学の研究者らによるマグネシウム電池に関する報告。
・これまでMg電池用の正極として シェブレル構造の硫化モリブデンが一般的であったが、Mgイオンの伝導が遅く、容量も出力もリチウムイオン電池を上回る電池を作製することはできていない。
・本報告では、キノン系の有機正極、負極にマグネシウム金属、塩化物フリーの電解液を用いて、高容量(243Wh/kg)、高出力(3400W/kg)のマグネシウム電池を達成した。
・この電池は2500サイクル後にも87%の容量を維持した。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2542435118305713?via=ihub


◯解説:
kg に市場の電池の構造が加味されておらず誤解を招くかもしれない。
さて、先日もMg電池の論文を本サイトで取り上げた。

【論文紹介】Tailoring the electrochemical activity of magnesium chromium oxide towards Mg batteries through control of size and crystal structure – Nanoscale


それを踏まえて、この論文の価値を考えてみる。
学術的には大変面白いかもしれない。
2価のイオンを無機物のように骨格が固定の材料に収納するのではなく、比較的フレキシブルな骨格に収納している。それにより、2価のイオンが伝導しやすくなっているのかもしれない。
イオンの伝導は、電子と比較して研究が進んでいない。その理由として、大きな質量と体積を持つため難易度が極端に上がる。また、その見かけ上の体積が変化する。
このような研究をきっかけに伝導の理解を高める研究が進むことを期待したい。

【論文紹介】Tailoring the electrochemical activity of magnesium chromium oxide towards Mg batteries through control of size and crystal structure – Nanoscale

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21 12月 2018

【論文紹介】Tailoring the electrochemical activity of magnesium chromium oxide towards Mg batteries through control of size and crystal structure – Nanoscale

出典:https://pubs.rsc.org/

Nanoscale, 2019, Advance Article 、DOI:10.1039/C8NR08347A
・マグネシウム電池用の高電圧正極として注目されているスピネルクロム酸化物の結晶欠陥制御による充放電特性を調べた。
・バッチ式の水熱合成で7nmの秩序だった結晶構造で制御されたMgCr2O4と、フロー水熱合成(CHFS)で結晶欠陥を多く含むMgCr2O4を合成し、電池特性を比較した。
・その結果、明らかに欠陥を多く含むMgCr2O4のほうが可逆な充放電容量が増大することを確認。
・この理由として、欠陥が多い無秩序な構造が新たなMgイオンの拡散経路を形成し、結晶構造の乱れが表面積を増大させたためと推測。
<元記事>https://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2019/NR/C8NR08347A#!divAbstract


◯解説:
イオンを単位体積あたりに貯められる数は、挿入脱離型であればクーロン引力斥力、コンバーション型であればイオン半径と共有結合の強さを比較すれば、高度な計算を使わなくてもある程度想定できる。それと材料の組成と結晶構造で決まる電位から電池の期待できるエネルギー密度は算出できる。
今、材料があるかないかは無視して、原理原則から正当にLiイオンとMgイオンを使った電池を「正当に」比較すれば、エネルギー密度(特に体積あたり)では、Mgイオン電池の価値は見出せない。出入力を加味すると、さらにその差は広がる。
ただ、イオンの性質や電解液に着目すれば、一次電池や特異的な環境で使える電池として可能性がある。

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28 9月 2018

【コラム】車の未来 電池求め西へ 製薬や機械、異業種が参入  :日本経済新聞

・江戸時代から薬問屋が集まる日本随一の医薬品街、大阪市中央区の道修町。そこに本社を置く創業100年近くの老舗試薬メーカーがこれまで培った化学物質の合成技術を活用して新たなプロジェクトに乗り出した。次世代電池の1つとして期待される「マグネシウム電池」の部材開発だ・・・
<元記事(無料登録必要あり)>https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35806680X20C18A9962M00/

<X’s EYE>
◯解説:
記事でも紹介されているように、電池産業は中小の企業の技術なくしては成立しなかった。材料だけでなく製造装置も中小の企業の貢献が大きい。

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21 8月 2018

【論文紹介】Fast Diffusion of Multivalent Ions Facilitated by Concerted Interactions in Dual‐Ion Battery Systems

出典:https://www.titech.ac.jp/

Advanced Energy Materials;DOI :10.1002/aenm.201801475 outer
・東北大学金属材料研究所と東京工業大学の共同研究によるプレスリリース”協奏的動きがもたらす多価イオン拡散の促進現象を発見”の元論文。
・Li-Mgデュアルイオン電池系におけるLi+とMg2+の拡散挙動を調査。
・その結果、Mg2+の拡散がLi+との協奏的相互作用によって顕著に促進されることを発見した。
・正極材料の一つの例として硫化物であるシェブレル化合物Mo6S8を用いて電位を走査したところ、放電の初期において、Li+が優先に挿入され、拡散の遅いMg2+はほとんど挿入されないが、Mo6S8中に挿入されたLi+が一定量に達すると、Mg2+の挿入が促進され始め、理論容量まで放電したMo6S8電極にはほぼ同じ割合のLi+とMg2+が正極に挿入されることがわかった。
・Li-Mgデュアルイオン系におけるMg2+の挿入が促進される現象は、先に挿入されたLi+がMg2+の拡散バリアを低減させたことを示唆する。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/aenm.201801475
<プレスリリース>https://www.titech.ac.jp/news/2018/042108.html

14 7月 2018

【論文紹介】NEDO 海外レポート2018.7.13号

エネルギー関連抜粋
◯究極の電池「固体マグネシウム電池」の実現へ向けた大きな一歩 (米国)
・エネルギー省(DOE)の科 学者チームが Joint Center for Energy Storage Research (エネルギー貯蔵研究所共 同センター。JCESR)で最速のマグネシウムイオン固体伝導体を発見した。
・これは、スピネル型マグネシウム-スカンジウム-セレン化物で、マグ ネシウムの移動度は、リチウム電池向け固体電解質に匹敵する。
・これは、 高エネルギー密度と安全性の両方を備えた固体マグネシウムイオン電池の作製に向け た大きな一歩である。
<元記事>http://www.nedo.go.jp/content/100880819.pdf

02 7月 2018

【ニュース】X氏による寄稿第5回Post-LIBについて 2/2〜LIS電池と多価イオン電池とPost-LIB研究への期待〜」公開!

・お馴染みX氏によるよるPost-Libの第二回。
・LiS電池や多価イオン電池について、メリットや課題について言及。
・LiS電池の課題はポリスルフィドのシャトルだけではありません!・・・
<全文>「Post-LIBについて 2/2〜LIS電池と多価イオン電池とPost-LIB研究への期待〜」
http://lithiumion.info/myblog/?post_type=contribution_seriali&p=14835

03 5月 2018

【論文紹介】Polypyrenes as High‐Performance Cathode Materials for Aluminum Batteries

Advanced Materials, 2018; 30 (15): 1705644 DOI: 10.1002/adma.201705644
・安価で高安全な二次電池としてのアルミニウム金属電池の新規正極材についての報告。
・アルミニウム電池の課題として、正極の高容量化と、電解質(塩化アルミ)の腐食性があった。
・本報告では、ポリ(ニトロピレンーCoーピレン)を正極材として用いることで、1.7Vの放電電圧で100mAh/gの可逆容量を確認。
・正極集電体として、窒化チタンを用いることで、耐腐食性と導電性を両立した。
・作製したアルミニウム金属電池はエネルギー効率86%で1000サイクル以上安定して充放電を繰り返すことができた。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/adma.201705644