19 3月 2019

【論文紹介】High‐Voltage Charging‐Induced Strain, Heterogeneity, and Micro‐Cracks in Secondary Particles of a Nickel‐Rich Layered Cathode Material

Adv. Funct. Mater. doi: 10.1002/adfm.201900247
・ニッケルリッチ層状カソード材料(LiNi1-x-yMnxCoyO2)(NMC)の劣化の原因を特定したとの報告。
・研究チームは透過型X線顕微鏡(TXM)観察を行い、劣化粒子内のすべての化学分布をマッピングした。このデータ量は膨大で、機械学習により解析を行った。
・結論として、サイクルにより容量劣化した粒子は、全体的にニッケル原子の酸化状態に不均一性があることが明らかとなった。粒子内部のニッケルは酸化状態を維持しするが、表面のニッケルは不可逆的に還元され、その効率が低下する。
・さらに追加の実験で、容量劣化した粒子は、材料の構造内に小さなひびが入っていることが明らかとなった。
・電池の充放電プロセス中に、正極材料が膨張および収縮し、応力が発生する。その応力を効率的に解放できないとクラックが発生する。
・これらの結論から、研究チームは中空構造を持つ新しい材料を合成することで、この問題を軽減できる可能性があると考え、理論的な計算、そして実験的にその有効性を確認した。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/adfm.201900247

最近、AIを導入した分野に注目されているらしい。AIというと懐疑的に感じるところもあるが、機械学習だと考えれば今後活躍の場は広がっていくのではないだろうか。生産の現場でも導入が進んでいる。

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24 11月 2018

【論文紹介】Atomically Well-Ordered Structure at Solid Electrolyte and Electrode Interface Reduces the Interfacial Resistance

出典:https://pubs.acs.org/

ACS Appl. Mater. Interfaces, Article ASAP;DOI: 10.1021/acsami.8b08926
・産総研のプレスリリース”産総研:全固体電池実現のネックを解明”の元論文。
・東京工業大学 物質理工学院の一杉太郎教授、日本工業大学の白木將教授、産業技術総合研究所物質計測標準研究部門の白澤徹郎主任研究員らの研究グループは、全固体電池で極めて低い界面抵抗を実現し、その鍵が電極表面の規則的な原子配列であることを発見した。
・これまで、活物質/固体電解質の界面抵抗が高くなる原因は未解明であり、低減のための明確な指針はなかった。
・本研究では薄膜作製と真空の技術を活用して、正極材料コバルト酸リチウム(LiCoO2)と固体電解質リン酸リチウム(Li3PO4)との界面を作製し、非破壊で測定できる表面X線回折を用いて界面構造を精密に調べた。
・その結果、高い抵抗を示す界面では結晶の周期性が乱れているのに対して、低い抵抗を示す界面は原子が規則的に配列していることを明らかにした。
<プレスリリース>https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2018/pr20181123/pr20181123.html
<元論文>https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.8b08926

<X’s EYE>
◯解説:
この論文に限らず、電池の原理解明で原子レベルに着目することがある。電池自体の性能向上に役に立つ場合と学術的な興味で終わる場合がある。この論文は、


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21 8月 2018

【論文紹介】Fast Diffusion of Multivalent Ions Facilitated by Concerted Interactions in Dual‐Ion Battery Systems

出典:https://www.titech.ac.jp/

Advanced Energy Materials;DOI :10.1002/aenm.201801475 outer
・東北大学金属材料研究所と東京工業大学の共同研究によるプレスリリース”協奏的動きがもたらす多価イオン拡散の促進現象を発見”の元論文。
・Li-Mgデュアルイオン電池系におけるLi+とMg2+の拡散挙動を調査。
・その結果、Mg2+の拡散がLi+との協奏的相互作用によって顕著に促進されることを発見した。
・正極材料の一つの例として硫化物であるシェブレル化合物Mo6S8を用いて電位を走査したところ、放電の初期において、Li+が優先に挿入され、拡散の遅いMg2+はほとんど挿入されないが、Mo6S8中に挿入されたLi+が一定量に達すると、Mg2+の挿入が促進され始め、理論容量まで放電したMo6S8電極にはほぼ同じ割合のLi+とMg2+が正極に挿入されることがわかった。
・Li-Mgデュアルイオン系におけるMg2+の挿入が促進される現象は、先に挿入されたLi+がMg2+の拡散バリアを低減させたことを示唆する。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/aenm.201801475
<プレスリリース>https://www.titech.ac.jp/news/2018/042108.html

15 8月 2018

【論文紹介】Microscopic Electrode Processes in the Four-Electron Oxygen Reduction on Highly Active Carbon-Based Electrocatalysts

出典:https://pubs.acs.org/

ACS Catal., 2018, 8, pp 8162–8176, DOI: 10.1021/acscatal.8b01953
・窒化還元炭素(NC)触媒は、酸素還元反応(ORR)における標準的なPt / C触媒に匹敵するPtフリーの代替物として注目されているが、その原理は不明であった。
・今回、NIMSと北海道大学、ドイツ・ウルム大学の国際共同研究チームは、炭素材料が1 at%以下の微量の窒素導入で、燃料電池の鍵である酸素還元反応に対して活性な電極触媒になることを発見し、その活性化の仕組みを説明することに成功。
・吸着されたO<sub>2</sub>の構成とNドーピング含有量の両方が反応経路に敏感に影響を及ぼすことを示唆する結果が得られ、 DFT計算にても、これを支持する結果を確認した。
<元記事>https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acscatal.8b01953

03 8月 2018

【論文紹介】Operando and three-dimensional visualization of anion depletion and lithium growth by stimulated Raman scattering microscopy

出典:https://www.nature.com/

Nature Communications, 2018; 9 (1) DOI: 10.1038/s41467-018-05289-z
・リチウムデンドライト発生メカニズムの解明を試みた。
・生物医学研究で広く使用されている技術であるSRS(Stimulated Raman Scattering)顕微鏡によって、電解質中のイオン輸送を直接観測した。
・このSRS顕微鏡法は従来のラマン顕微鏡よりも6倍もの速度で、300nmの空間分解能で3D画像を取得することができる。
・その結果、リチウム析出の3つの段階を検出することができた。
1)電極近傍のリチウムイオンの濃度が十分に高い場合、苔上の比較的均一なリチウムが析出。
2)電極表面で部分的にリチウムイオンが不足した際にデンドライトが発生。
3)電極表面に完全にリチウムイオンが欠乏した際に、デンドライトが急速に成長。
・すなわち、電極表面上の部分的なリチウムイオンの欠乏を抑制することでデンドライト成長を抑制できるとの仮設を立て、負極表面に人工SEIを形成させることで、イオンの欠乏を抑制することを試み、これによりデンドライト成長を抑制できることを実証した。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41467-018-05289-z

28 7月 2018

【論文紹介】Microscopic mechanism of biphasic interface relaxation in lithium iron phosphate after delithiation

出典:https://www.nature.com/

Nature Communicationsvolume 9, Article number: 2863 (2018) 、DOI : 10.1038/s41467-018-05241-1
・一般財団法人ファインセラミックスセンター(JFCC)による電極内部のリチウムイオン分布の変化をナノスケールで観察する手法の報告。
・走査型透過電子顕微鏡(STEM)とモノクロメータを用いた電子エネルギー損失分光法(EELS)によって得ることができる特定のスペクトルを利用し、リチウムイオン分布をナノメートルスケールで観察できる新たなイメージング手法を構築。
・この手法により、LFP正極の内部で、リチウムイオンの中間組成分布や特徴的な境界構造を明らかにし、さらには、リチウムイオンの分布が変化していく過程をも観察することに成功。
・この結果により、Li イオンが移動していく過程では、LiFePO4 と FePO4の境界の特徴的な構造が重要な役割を果たしていることを明らかにした。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41467-018-05241-1

20 7月 2018

【論文紹介】Nucleation of dislocations and their dynamics in layered oxide cathode materials during battery charging | Nature Energy

出典:https://www.nature.com/

Nature Energy doi: 10.1038/s41560-018-0184-2
・カリフォルニア大学サンディエゴ校のチームが、リチウムリッチ層状酸化物正極(LRLO)の課題である電圧低下の原因について、そのメカニズム解明を行った。
・オペランドの3次元ブラッグコヒーレント回折イメージングを用いて、充電中のLRLOナノ粒子中の格子欠陥を直接観測した。
・結果、LRLOの構造における欠陥の発生と欠陥の蓄積が電圧消失の起源であることを明らかにした。
・そしてそれは可逆的であり、電圧減衰した活物質を熱処理してバルク構造の欠陥を取り除くことで電圧を回復できることを実証した。
・この再生手法はスケーラブルではないが、LRLOの電圧減衰が可逆的であり、酸素のレドックスを利用する活物質の設計のための新たな知見として有用であることを確認した。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41560-018-0184-2

04 6月 2018

【論文紹介】Interplay of cation and anion redox in Li4Mn2O5 cathode material and prediction of improved Li4(Mn,M)2O5 electrodes for Li-ion batteries

出典:http://advances.sciencemag.org/

Science Advances 18 May 2018:Vol. 4, no. 5, eaao6754;DOI: 10.1126/sciadv.aao6754
・近年報告された、350mAh/gの高い放電容量を示すLi4Mn2O5について、第1原理密度汎関数理論(DFT)計算を用いて放電メカニズムの解明を行った。
・その結果、Li4Mn2O5は脱リチオ化プロセス中に、カチオンとアニオンのレドックス反応の複雑な相互作用を含む三段階反応経路を介して起こることを見出した。
(i)初期金属酸化物、Mn3+→Mn4+(LixMn2O5、 4> x> 2)。
(ii)続いてアニオン酸化、O2-→O1-(2> x> 1)。
(iii)最後に、さらなる金属酸化、Mn4+→Mn5+(1> x> 0)。
この最後のステップは、元の八面体サイトから隣接する四面体サイトへのMnの移動を生じ、可逆的な充放電サイクルに対する運動障壁となる。
<元記事>http://advances.sciencemag.org/content/4/5/eaao6754

20 4月 2018

【論文紹介】Crystallization behavior of the Li 2 S–P 2 S 5 glass electrolyte in the LiNi 1/3 Mn 1/3 Co 1/3 O 2 positive electrode layer

出典:https://www.nature.com/

Scientific Reportsvolume 8, Article number: 6214 (2018);doi:10.1038/s41598-018-24524-7
・大阪府立大学のプレスリリース”全固体リチウム電池実現に向けた熱安定性評価技術を開発”の元論文。
・全固体リチウム電池用正極複合体が示す発熱反応の主たる要因は、無機固体電解質の結晶化であることを透過型電子顕微鏡による加熱その場観察によって初めて明らかにした。
・正極複合体の発熱反応には、活物質との界面接触に起因する無機固体電解質の分解反応が関与していることが分かった。
<元論文>https://www.nature.com/articles/s41598-018-24524-7
<プレスリリース(日本語)>http://www.jst.go.jp/pr/announce/20180418/

31 1月 2018

【論文紹介】Microscopic Formation Mechanism of Solid Electrolyte Interphase Film in Lithium-Ion Batteries with Highly Concentrated Electrolyte

J. Phys. Chem. C, Just Accepted Manuscript ; DOI: 10.1021/acs.jpcc.7b11650
・高濃度電解液の使用は、安定なSEI被膜の形成を促進し、電池性能を向上させる結果が報告されているが、そのSEI形成メカニズムの解明を試みた。
・膜形成機構を調査するため、レッドムーン法 (a hybrid Monte Carlo (MC)/molecular dynamics (MD) reaction method)を用いて、アセトニトリルベースの電解液での反応シミュレーションを行った。
・その結果、高濃度電解液中で形成されたSEI膜組成は主として、塩の還元による反応生成物であった。これは、これまでの実験結果に一致する。
・そして、安定したSEI膜は、1)還元生成物の拡散移動、2)Li塩ベースのパッシベーション膜の形成、3)溶媒ベースのフィルム層の形成という段階的に形成されることが明らかとなった。
<元記事>http://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/acs.jpcc.7b11650