29 8月 2019

【ニュース】東工大、放射光でセラミックス内部の欠陥を観察 – EE Times Japan

・東京工業大学は2019年8月、大型放射光施設「SPring-8」の放射光マルチスケールX線CTを用いて、セラミックス内部の欠陥を観察することに成功したと発表した。粉体成形と焼結プロセスにおける欠陥形成機構を解明したことで、高信頼の部材製造につながるとみている。
・研究グループは、製造プロセスに起因する内部欠陥の寸法や形状、分布状況を調べた。具体的には、高輝度光科学研究センターが開発した放射光マルチスケールCT技術を用いて、アルミナ(Al2O3)の3次元欠陥形成過程をSPring-8の「BL20XU」で観察した。
・マルチスケールCTは、低分解能だが広い視野を観測できる「マイクロCT」と、視野は狭いが高い分解能が得られる「ナノCT」で構成され、内部欠陥を効率よく観察することができるのが特長。
・研究グループによると、今回の研究成果はアルミナ以外のセラミックス開発にも適用できるという。その応用例として、全固体電池といった積層材料の焼結プロセスを挙げた。
<元記事>https://eetimes.jp/ee/articles/1908/26/news077.html

このような構造解析と物性を紐づけることで産業に大きく貢献できる。物性の評価も合わせて期待したい。
アルミナに限らないが、TEMや計算科学を使って微原子レベルの欠陥やドーピングによる構造変化と物性の相関は明らかにされつつある。さらにこのようなマクロな欠陥が物性にどのような影響を及ぼすか学術的に理解が進むことは価値があると思う。

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23 8月 2019

【論文紹介】Quantifying inactive lithium in lithium metal batteries | Nature

出典:https://media.springernature.com/

Nature, 2019 DOI: 10.1038/s41586-019-1481-z
・リチウム金属電池の容量劣化の原因の一つはSEI中に堆積する不活性リチウム(デッドリチウム)。
・従来まで、容量劣化(低クーロン効率)の原因はSEIの堆積によるものと考えられており、SEI層を制御および安定化するためのさまざまな方法の開発を行ってきたが、完全に解決できていない。
・今回、SEI中のリチウムイオンと不活性なリチウムメタルを分離して定量的に測定する手法を開発し、解析したところ、放電中のリチウム金属負極において、金属リチウムの一部が負極から分離し、SEI層中に取り残されていることが確認された。
・それにより、それらのリチウムメタルは、負極との電気的接続が切れ、その後の放電に寄与できないデッドリチウムとなり、クーロン効率を低下させる原因となっていることが明らかとなった。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41586-019-1481-z

個人的な感想になるが、このような内容がNatureに掲載されて嬉しさを覚えた。あたりまのことを確認しているように思えるが、学術の進化はこのような原理を一つ一つ確認していくことが重要だと思う。ただ単に数値を競うものだけでなく、このような研究が電池分野でも増えることを期待したい。

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25 6月 2019

【ニュース】日置電機、「電極抵抗測定システム RM2610」を発売  :日本経済新聞

・HIOKIは、リチウムイオン電池(LIB)の電極シートの抵抗特性を、「合材層抵抗」と「合材層と集電体の界面抵抗」に分離し、数値化・計測するシステム「電極抵抗測定システム RM2610」を発売した。
・電極シートの表面に、テストフィクスチャ(検査針)を当て電位を計測し、HIOKI独自の解析手法で、「合材層抵抗」と「合材層と集電体の間の界面抵抗」を見える化する。
<元記事>https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP512739_U9A620C1000000/
<評価原理>https://release.nikkei.co.jp/attach_file/0512739_03.pdf

交流を使って行うのであろうか?研究などでは交流測定だけで議論するのをよく目にするが、製品化を考えるなら直流も織り交ぜで検討しないと、本質を見逃してしまうことがある。

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11 6月 2019

【ニュース】世界初、蓄電池内部の電流密度分布の画像診断システムを開発〜NEDO〜

・NEDOのプロジェクトにおいて、(株)Integral Geometry Scienceと神戸大学数理・データサイエンスセンターは、蓄電地内部の電流と、蓄電池外部に漏洩した磁場に関する逆問題の解析を通じて、磁場の空間分布を測定することで電流密度分布をリアルタイムに非破壊で画像診断するシステムの開発に世界で初めて成功した。
・本技術は良品の蓄電池においても、電流密度のムラを検出することが可能で、今後、電動車両の普及に伴って蓄電池生産量の増大が見込まれる中で、蓄電池の製造工程における全数検査が確立されれば、蓄電池の安全性を飛躍的に向上させることが可能。
<元記事>https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101126.html

程度にもよるが不具合の箇所を可視化できるのは、生産効率を上げるのに有効に活用できるのではないだろうか。
電池はコストが問題とされており不良率を下げたい。また、できる限りタクトタイムを短くしたい。この検査は、不良を見つけるというよりは、工程の改良などに役にたつかもしれない。

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09 6月 2019

【ニュース】テラヘルツ波を用いた次世代電池評価装置の開発・商品化事業を加速-電気自動車(EV)などに必要な高性能電池の普及へ- – 国立大学法人 岡山大学

・中国経産局「戦略的基盤技術高度化支援事業」として岡山大学と協和ファインテック株式会社が共同で、テラヘルツ波を用いた次世代電池評価装置の開発・商品化を目指す。
・紀和利彦准教授が独自に開発したテラヘルツ波ケミカル顕微鏡のシーズ技術をもとに、全固体リチウムイオン電池などの内部の電位の様子を可視化する装置を開発する。
・開発する装置は、全固体リチウムイオン電池などの内部の電位の様子を動作下で可視化すること ができる。
・これまで、放射光施設などを使って観測していた情報の一部を、デスク トップサイズの装置で観測することができるようになる。
・これにより、電池の開発期間の大幅短縮が可能になり、電気自動車(EV)の普及加速が期待される。
<元記事>https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id631.html

テラヘルツ波を利用した時間分解の分光は、半導体や磁性体などのダイナミクな物性を評価にするのに利用されている。これを電池に応用するのであろう。空間分解も可能かもしれないが、サンプルの作製が重要になるであろう。実用というよりは、研究向けで電池反応の理解を深めるために活用していく感じであろうか。

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22 5月 2019

【ニュース】Cu/LASGTP界面のイオンの空間電荷層を初観察 – EE Times Japan

・ファインセラミックスセンター(JFCC)と名古屋大学は2019年5月、金属電極とリチウム(Li)イオン伝導性固体電解質の界面に形成される「イオンの空間電荷層」を観察することに初めて成功したと発表した。今回、電子線ホログラフィー技術と位置分解電子エネルギー損失分光法などを用いて可視化した。
・研究グループは今回、高い精度と分解能を実現した電子線ホログラフィー技術、位置分解電子エネルギー損失分光技術および、新たに開発した電子顕微鏡用試料作製(Nano-Shield)技術を組み合わせて実験を行った。
・これらの観察結果から、Cu/LASGTP界面ではLASGTP内のバンド構造が湾曲し、約10nmの領域で1.3Vの電位変化が生じていることが分かった。つまり、界面近傍にLiが滞留することで、Liイオンの空間電荷層が形成されていることを直接確認した。
<元記事>https://eetimes.jp/ee/articles/1905/20/news029.html

静的な界面状態の観察に成功した。動的な現象のメカニズム解明ができれば、理論的に電池特性を向上させる術を提案できるようになる。また、今回は分析しやすい系で評価したと思うが、これを一般化できるような理論を考えていく必要があるであろう。

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06 11月 2017

【論文紹介(オープンアクセス)】Two-dimensional lithium diffusion behavior and probable hybrid phase transformation kinetics in olivine lithium iron phosphate

出典:https://www.nature.com/

Nature Communications 8, Article number: 1194 (2017); doi:10.1038/s41467-017-01315-8
・LFPの結晶中のリチウムイオン輸送のダイナミクスを詳細に解明するため、[010]方向に長軸を持つ単結晶LFPマイクロロッドの脱リチオ化をオペランド硬X線分光イメージングと位相場モデリングを組み合わせて脱リチオ化のメカニズム解明を試みた。
・その結果、従来、LFP結晶中の欠陥はバグと考えられていたが、この欠陥がリチウム輸送に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
・欠陥のない単結晶ではリチウムイオンは一軸方向にしか輸送できないが、点欠陥部位では、リチウムイオンが二次元的に拡散することができる。
・以前に予測された表面反応に限定された相境界(リチウムリッチ相と不足相)移動機構と、相境界運動が異なる結晶学的方向に成長する相境界移動機構の両方でリチウムが拡散する”ハイブリッドモード”で充電が進行していることを明らかにした。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41467-017-01315-8

05 11月 2017

【論文紹介】中性子を利用した Li2S-P2S5 系リチウムイオン伝導体の構造 およびイオン伝導経路の可視化

日本結晶学会誌 59,230-237(2017)
・中性子を利用した蓄電池の構造研究に関するレビュー。
・国内の中性子回折装置と蓄電池構 造研究の動向について紹介する.
・固体 電解質材料の有力候補であるLi2S-P2S5 ガラスおよび Li7P3S11 結晶に関する中性子を利用した最近の構造研究 およびダイナミクス研究について解説。
<元記事>https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcrsj/59/5/59_230/_pdf

02 11月 2017

【論文紹介】Atomic structure of sensitive battery materials and interfaces revealed by cryo–electron microscopy

出典:https://www6.slac.stanford.edu/

Science 27 Oct 2017:Vol. 358, Issue 6362, pp. 506-510;DOI: 10.1126/science.aam6014
・スタンフォード大学材料・エネルギー科学研究所(SIMES)のYi Cuiらは、極低温電子顕微鏡クライオEMを用いて電池内部のリチウムデンドライトを観察。
・研究チームはスタンフォード大学医学部の低温EM装置を使用して、さまざまな電解質中で形成した数千種類のリチウム金属樹状突起を調べた。
・同時に、デンドライトが周囲の電解質と反応するにつれて発達するSEIについても観察した。
・結果、従来まで、リチウムデンドライトは不規則な樹木状であることが報告されていたが、今回クライオEMで観察されたリチウム金属は、長く美しく形成された六面体の結晶であることがわかった。
<元記事>http://science.sciencemag.org/content/358/6362/506

25 10月 2017

【論文紹介(オープンアクセス)】ラマンおよびNMR分光法による リチウムイオン電池用フッ素系電解液の 配位状態の定量解析

Res. Reports Asahi Glass Co., Ltd., 67(2017)
・リチウムイオン電池用電解液の配位状態は安全性に深く関係するため、配位状態を定量的に評価 することは重要である。
・解析にはラマン分光法が有用であるが、複数の配位性溶媒を含有する電解 液への適用は困難な場合がある。
・ラマン分光法とNMR分光法を併用することで、γ-ブ チロラクトンとジメチルカーボネートの混合比の異なるフッ素系電解液について、配位状態の違い を明確化した。
<元記事>http://www.agc.com/innovation/library/pdf/67-05.pdf