16 10月 2019

【論文紹介】Origin of lithium whisker formation and growth under stress | Nature Nanotechnology


Nature Nanotechnology doi: 10.1038/s41565-019-0558-z
・PNNLの研究者らはリチウム金属のデンドライトやウィスカーの成長原理の解明を試みた。
・TEMとAFMを組み合わせ、AFMのカンチレバーをウィスカーの先端に押し当てて、様々な条件のもとウィスカー成長の力を測定した。
・その結果、デンドライトが急速に成長するのは、SEIが関与しており、SEIのエネルギーダイナミクスがゆっくりと成長する金属リチウムカラムに, より多くのリチウムイオンを供給するために、デンドライトが急速に成長する。
・そして、エチレンカーボネート量もデンドライトやウィスカーの成長と直接的な相関があることを確認。電解液中のエチレンカーボネート量が増大するとデンドライトの成長も増加する。
・著者らは、幾つかの電解液の成分を変更した結果、シクロヘキサノンの添加がデンドライト成長抑制に効果があることを見いだした。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41565-019-0558-z

29 8月 2019

【ニュース】次世代大容量バッテリー普及につながるか。新しいコーティング技術がリチウム金属電池の弱点カバー – Engadget 日本版

・米スタンフォード大学とSLAC国立加速器研究所の研究チームは、リチウム金属負極のデンドライト発生問題を解決する方法を発見した。
・彼らは、問題の原因となるデンドライトの発生を大幅に抑制する特殊な保護被膜を作った。
・このコーティング技術は、帯電したリチウムイオンを電極に均一に送達する分子のネットワークを作ることで、デンドライトの発生を抑制する。
・チームは160回の充電サイクルを実施したあとでも、もとの85%の充電容量を維持できるリチウム金属バッテリーを生み出すことができたと述べている。
<元記事>https://japanese.engadget.com/2019/08/27/new-coating-lithium-metal-batteries/

160回の充放電で85%という数字を聞くと実用化は遠い感じはしてしまうが、確実に技術は進化して性能は向上しているのであろう。

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23 8月 2019

【論文紹介】Quantifying inactive lithium in lithium metal batteries | Nature

出典:https://media.springernature.com/

Nature, 2019 DOI: 10.1038/s41586-019-1481-z
・リチウム金属電池の容量劣化の原因の一つはSEI中に堆積する不活性リチウム(デッドリチウム)。
・従来まで、容量劣化(低クーロン効率)の原因はSEIの堆積によるものと考えられており、SEI層を制御および安定化するためのさまざまな方法の開発を行ってきたが、完全に解決できていない。
・今回、SEI中のリチウムイオンと不活性なリチウムメタルを分離して定量的に測定する手法を開発し、解析したところ、放電中のリチウム金属負極において、金属リチウムの一部が負極から分離し、SEI層中に取り残されていることが確認された。
・それにより、それらのリチウムメタルは、負極との電気的接続が切れ、その後の放電に寄与できないデッドリチウムとなり、クーロン効率を低下させる原因となっていることが明らかとなった。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41586-019-1481-z

個人的な感想になるが、このような内容がNatureに掲載されて嬉しさを覚えた。あたりまのことを確認しているように思えるが、学術の進化はこのような原理を一つ一つ確認していくことが重要だと思う。ただ単に数値を競うものだけでなく、このような研究が電池分野でも増えることを期待したい。

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23 7月 2019

【論文紹介】An air-stable and waterproof lithium metal anode enabled by wax composite packaging

出典:https://ars.els-cdn.com/

Science Bulletin, 64 (13) 910-917 doi: 10.1016/j.scib.2019.05.025
・リチウム金属負極の表面保護技術。
・リチウム金属表面にワックスとPEO混合物を被覆した。
・被覆方法はディップするだけの簡便な方法。
・ワックスで被覆することで、水分や酸素とリチウム金属の反応を抑制でき、大気中でも24時間安定。
・このコーティングを行った金属負極を用いたLiS電池で300サイクル安定して動作することを実証。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2095927319303196?via=ihub

Li金属関係のベンチャーが乱立している。全固体やFCもそうであるが、周期的にブームがくる。
Li金属負極は電池容量が大きな用途では課題がまだあるが、このような技術の積み重ねで進化していることは間違えない。低容量用途で市場に出してみる価値はあるのかもしれない。

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02 7月 2019

【ニュース】米SolidEnergy、Li金属負極で450Wh/kgの容量6Ahの電池を開発 | 日経 xTECH(クロステック)

・米ソリッドエナジー・システムズ(SolidEnergy Systems、SES)は、リチウム(Li)金属負極を使い、セルの質量エネルギー密度が450Wh/kgと高い、容量6Ahの電池「SES Hermes 6Ah」を開発した。
・先進車載電池の国際会議「19th Annual Advanced Automotive Battery Conference(AABC 2019)」(2019年6月24~27日に米国サン・ディエゴで開催)で最高経営責任者(CEO)のQichao Hu氏が明らかにした。
・今回開発した電池のセルは、負極に銅(Cu)に超薄型のLi金属をラミネートしたものを使い、正極にはニッケル(Ni)リッチのニッケル-マンガン-コバルト酸リチウム(NMC)を使っているとみられる。
・セパレーターはセラミックスのフィラー入りのコーティングを施したもで、同氏は安全性を高めているとする。また、負極とセパレーターの間には保護層となるコーティング層を設けている模様だ。
・Liのデンドライト(針状結晶)の生成を抑制する技術も投入しているとみられる
<元記事>https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/event/18/00068/00005/

Liイオン電池のロマンの一つは負極フリー(電池を作った時の状態)であろう。SolidEnergyはそれにチャレンジしているベンチャーである。この調子でいくと来年あたりに計画通り20Ahのモビリティ向けのラインナップが加わるのであろう。

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24 4月 2019

【論文紹介】Stabilizing Solid Electrolyte-Anode Interface in Li-Metal Batteries by Boron Nitride-Based Nanocomposite Coating: Joule

出典:https://www.cell.com/

Joule doi: 10.1016/j.joule.2019.03.022
・Li 1.3 Al 0.3 Ti 1.7(PO43(LATP)固体電解質はリチウム金属電位において不安定。
・そこで、機械的に安定なboron nitride (BN) とPEOをリチウム金属とLATPの界面に配置することで、リチウム金属に安定で、且つデンドライト成長を抑制した。
・これにより、安定してサイクルが可能となり、LiFePO4/LATP/BN/PEO/Li固体電池は、500サイクル後に96.6%の高容量保持率を示す。
<元記事>https://www.cell.com/joule/fulltext/S2542-4351(19)30162-X?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS254243511930162X%3Fshowall%3Dtrue

界面での濡れ性が改善されたからであろうか。入力特性が実用的なレベルなのかが気になる。
ここで電解液の分解を抑制するために電子の動きに着目している。電子の授受の観点からメカニズムを追求するのは有効ではないだろうか。

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22 3月 2019

【論文紹介】Solid-state polymer electrolytes with in-built fast interfacial transport for secondary lithium batteries | Nature Energy

出典:https://media.springernature.com/

Nature Energy, 2019; DOI: 10.1038/s41560-019-0349-7
・室温において10-3S/cmを達成する高分子固体電解質についての報告。
・ガラスのコップに氷を入れた際、氷は点で接触している。しかしながら、氷の隙間に水を入れて凍らせれば、界面は消滅する。これをヒントにして、セル内部で重合をすることによって作製する高分子固体電解質を提案。
・環状エーテルをセル内に満たし、その後開環重合させることで、活物質界面が密着した全固体電池を作製できる。
・金属負極と組み合わせて作製した全固体ポリマー電池は安定したリチウム金属の析出溶解を繰り返すことができた。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41560-019-0349-7

材料単体でなく電池として性能を向上させる研究は今後重要になるのではないだろうか。材料だけやってあとは企業がなんとかすること、というような表現をたまに目にするが、それは無責任すぎるように思える。
電池全てに固体電解質を採用する必要はない、活物質表面など部分的に採用するのも面白いと思う。

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18 3月 2019

【論文紹介】Detecting Li Dendrites in a Two‐Electrode Battery System

出典:https://abm-website-assets.s3.amazonaws.com/

Advanced Materials.DOI: adma.201807405
・容易にでリチウムデンドライトを検出することができる手法について。
・赤リンを塗工したセパレータを用いて電池を作製。
・デンドライトが成長し、赤リンに触れた瞬間、電池電圧が急激に低下するため、デンドライトショート直前で外部からモニタできる。
・このセパレータによって電池性能への悪影響はないことを確認。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/adma.201807405

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充放電カーブから電池反応を解析できると研究開発が捗る。一方で、電池内部の反応は均一でない。平均情報の充放電カーブからだと場所の特定が困難である。今回の成果は、その課題を解決できる可能性がある。赤リンを塗布する場所を変えたセパレーターを用意し評価することで、面内方向で析出しやすい場所の特定ができるかもしれない。

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14 3月 2019

【論文紹介】Polymer–inorganic solid–electrolyte interphase for stable lithium metal batteries under lean electrolyte conditions | Nature Materials

出典:https://media.springernature.com/

Nature Materials, 2019; DOI: 10.1038/s41563-019-0305-8
・リチウム金属電池の金属負極表面の保護層として、新規SEIを設計した。
・新規SEIは反応性のリチウム塩ポリマー、フッ化リチウムナノ粒子、酸化グラフェンからなる。
・反応性ポリマーはリチウム金属と反応してリチウム金属表面に爪のように結合し、フッ化リチウムナノ粒子を強固に担持する。
・複合材料中の酸化グラフェンナノシートはリチウムデンドライトの成長を抑制する機械的障壁として機能する。
・これにより、Li/NMCセルが安定してサイクルできることを確認した。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41563-019-0305-8

モバイルや自動車用に使えるかどうかはわからないが、低電流で温度変化がないような環境ではすでに使えるレベルかもしれない。
SEIの設計はLi金属を使いこなす以外にも、既存の電池の耐久性能をあげるのにも寄与することがある。この研究はDOEから予算が出ている。

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21 2月 2019

【ニュース】PolyPlusとSKがリチウム金属電池の共同開発契約を締結- Green Car Congress

・イオン伝導性ガラスセパレータを備えた最初のリチウム金属二次電池の開発を行っているPolyPlus Battery CompanyとSK Innovationは共同開発契約を締結した。
・PolyPlus Battery Companyは、カリフォルニア州バークレーに本社を置き、リチウム硫黄、リチウム空気、リチウム水電池のコア技術である保護リチウム電極(PLE)を発明し、特許を取得している。
<元記事>https://www.greencarcongress.com/2019/02/20190220-polyplus.html

ここ2年ぐらいは、電池ベンチャーへの投資が過熱している。市場に影響するようなものを出せるかは懐疑的であるが、研究リソーセスを有効に使うためにこのような投資をしていくのは有効である。スピードをあげるのにも有効で、固定資産や人員を抱えるリスクも低減できる。

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