03 12月 2018

【特別連載(別冊)】第12回 荒木ーK対談 〜入社試験2 実技編〜

前回に引き続き、K氏の弊社入社試験の様子を公開します。今回は実技編とのことで、K氏のプログラミングについてです。

<荒木(以下A)>
では、第一回実技試験の課題を出したいと思います。

<K>
第一回・・・?

<A>
はい。
前回の面接でKさんに提案していただいた、無名の中国製バッテリーの安全性ランク付け、みたいなことをもっと深掘りしてやっていこうかと思っています。
そうした場合、電池内の構造などで安全性対策がなされているかどうかと言うのがランク付けに重要になってくるのですが、安全性対策の中でも、どういった事故への対策かによって重要度が違ってきます。
実際に起っている事故件数が多い原因についての対策が行われているかどうかが重要であると考えています。

<K>
そうですね。

<A>
そこで、近年の輸入リチウムイオン電池に関する事故とその原因を調査して下さい。ただ、じっくりやっていると時間がすぐに経ってしまいますので、Kさんのプログラミング力で、データを収集、解析を自動で行い、その事故についてKさんなりに考察して下さい。

<K>
はい。事故事例についてはnite、あ、独立行政法人製品評価技術基盤機構、ですね。そこに寄せられた事故事例のデータベースが公開されておりますので、そこから自動的にリチウムイオン電池に関する事故と、その原因について収集するソフトを作ります。その結果を見て、考察します。

<A>
1日でできますか?

<K>
やってみます。

〜1日後〜

<A>
あ〜よく寝た。。。。。
ところでできました?

<K>
はい。
Pythonを用いて、Niteの事故情報データベースでリチウムイオン電池に関する事故を調査しました。
検索キーワードは、「電池」 AND 「リチウム」です。
期間は1996年から2018年3月3日までです。
337件ヒットしました。337件の中にリチウムイオン二次電池の事故ではない案件も若干含まれているかもしれませんが、短納期で傾向を把握するということで、この母集団で分析を進めさせてもらいました。

<A>
素晴らしいです。やはりリチウムイオン電池に関する事故は実際に増えてきているのですか?

<K>
はい。
まずは年度別に事故件数の推移を確認しました。

事故件数は大まかにみて増加傾向にあります。
2018年は3月3日までしか記載されていませんでしたので、年間としてはもっと増えると思います。
事故件数の増加の原因ですが、電池の出荷本数は増えているからとも言えますが、我々が気にしている輸入品の事故件数が増加しているのではないかという疑問について、もう少し踏み込んで調べました。

<A>
2006年、2007年に一度大幅に事故件数が増えているのはなんでですかね?
2006年というとソニー製電池を搭載したデルのノートパソコンが燃えるという事故が起こったあたりですが、それ以外でも事故が増えていた時期なんですね。

<K>
この期間の増加は、ある携帯電話の電池事故ですね。ちなみにこのデータは日本での事故集計ですので、ソニー電池搭載のデル製のパソコンが海外で発火してもカウントされていないです。ただこの時期の事故をきっかけとして2008年にリチウムイオン電池が電安法の対象になっているので、電池安全性の過渡期であったのだと思います。

<A>
なるほど、では輸入品の事故について続けて下さい。

<K>
はい。
Niteが公開しているデータベースファイルの項目には、“再発防止措置”という項目があります。今後事故が起きないように、誰が何をするかが記入されています。この内、「誰が」に注目すると、「輸入業者が」というキーワードが多々出てきます。このキーワードを含む事故案件は、間違いなく輸入品であると言えますね。ではその割合を確認します

赤色の棒が輸入品の事故件数です。
2016, 2017年は1/3程度が輸入品で事故が起きていることがわかります。
この輸入品には、外国産のリチウムイオン電池が搭載されているかNITEのデータベースからは判断できませんが、電化製品の製造拠点、リチウムイオン電池の世界シェア等から考えると、中国電池が多くを占めているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。少し強引でしょうか。

<A>
まあ、そうでしょうね。ただ、事故の殆どが中国製電池、みたいな報道も見かけましたが、輸入品の事故は1/3程度なんですね。日本製のほうが事故の絶対数は多いのですね。2018年は今の所、殆どが輸入電池による事故ということですね。

<K>
補足ですが、これはデータベースに輸入品と断定してあったものに限りますので、確認されている最低量、と考えてよいかと思います。

次に事故原因を調査しました。まずNITEからダウンロードしたファイルには「事故原因区分」という項目があります。この項目を利用したいのですが、全ての案件に記入されているわけではありませんでした。ですので、自分で分類しています。
まず事故原因を特定できている案件、できていない案件を分類します。「事故原因」という項目の内容をよく見ると、原因を特定できていない案件には「・・・・・原因の特定には至らなかった」もしくは、「・・・・・原因の特定はできなかった」と記載されています。これらキーワードを含む案件は、事故原因を特定できていない案件として分類します。
事故原因を特定できてない案件は、 184/337件です。

<A>
多くの事故は原因が特定できていないのですね。完全に燃えてしまった電池からはなかなか特定は難しいのですね。。。

<K>
次に事故原因を特定できている集合153件の中身を見ていきます。
全153件の中で「輸入品」に該当する事故の原因を知りたいので、絞り込みを進めます。
「事故原因を特定できている」かつ「輸入品」に該当する件数は、50/153件です。
この50件の「事故原因」の内容を形態素に分割、名詞だけをピックアップして頻度順にランキングしてみました。ちょっとうまく分割できていない名詞がありますが、事故原因になりそうなキーワードは、“内部”“短絡”でさらにその原因となりそうなものは“異物”“混入”、その他には“制御”“基板”不良など、また“結露”を起点として発火発煙ということであれば、基本的な設計を疑いたくなります。

ということで、キーワードランキングの結果から、まずは中国電池の内部短絡、その中でも異物短絡の対策ができているか確認することが良いとのではないかと思います。
異物短絡で発熱しやすい部位はテープ貼りでしっかり守られているか、セパレータや電極にセラミックコードされているか、異物混入防止用の対策はされているか、などを見てみると良いと思います。

<A>
素晴らしいです。そういった安全対策は電池を解体すれば一発でわかりますからね。
実技テスト合格です!

<K>
ありがとうございます。
それでは第二回実技テストですね。

<A>
さすがですね。だんだんと分かってきましたね。
次回は実際に中国製電池を分解してみましょう。
普通の電池を分解しても面白くないと思いますので、実技テストに最適?な中国製電池を複数購入しました。
”UltraFire 18650 4200mAh”という電池や、中には、18650で9800mAhもの容量と明記されている“Liebeye GTF ”という電池をamazonで購入してみました。

UltraFireに関しては、紙の茶封筒に4200mAhの生身の電池が2本、そのまま入った状態で会社のポストに届きました。
テロかと思いました。

次回の実技テストはこれら電池の解体と考察です。
充放電装置で測定した容量や、内部構造をamazonのレビューにでも投稿しましょうかね・・・・・?

〜次回、実技テスト第二回:中国製電池を分解してみる〜