25 6月 2018

【特別連載(別冊)】第4回 荒木ーX対談 〜RISING〜

<ARM Technologies荒木 以下A>
最近、電池関連の投資が盛んに発表されますね。電池を征するものがEVを征する、とか言われていますし、電池をなんとかしたい、というのはあるんでしょうね。

<X>
自動車でいうと量は不明確なところはありますがEVも定着して行きますし、HEVや燃料電池車でも必ず二次電池は必要になりますので、販売計画が未確定部分は検討段階でもいいですが、確定部分は動いていかないと競争力失ってしまいますからね。

<A>
一方で、そういう動きを過剰に報道するメディアも多いですね。

<X>
そうですね。
固有名詞は避けますが、日経新聞系。
私も以前記事に関連することがあってお話しすることがあったんですが、とにかく見出しにインパクトを持たせることに命をかけている気がしました。
最近もよく目にするんですが、「何倍」って書かれているのはインパクト出すための典型的な手法ですね。
比較の対象や仕方に学術的であったり経済的な観点が欠けています。

<A>
シリコンを負極に使って容量10倍!って見かけたことがあります。確かに負極容量は可能性がありますが、電池容量は・・・・?

<X>
そこが彼らのうまいところですね。本文読むとちゃんとフォローしてるんですよね。
たまに仕入れたネタが間違っていることがありますが、彼らがそれを故意に捻じ曲げるようなことはほとんどないと思います。

<A>
受け取る側の問題もあるとのことですね。そういう意見があるというのも、一つの情報ですしね。

<X>
なので、否定しているわけではありません。私は彼らの行動を抑制する必要はないし、むしろもっと活発にやるべきだと思っています。
前に言ったような気がしますが、機密やコンプライアンスに触れない情報は止めないで共有して、世の中が早くいいものを手に入れる環境を作っていくべきだと考えています。
日経の記事なんかでも、うん?って思うところはあるものの、知らなかった情報が含まれていたりしますし、まとめ方なんかはすごくうまいなと思うことが多いです。私自身、参考にさせていただいています。

記事の構成から考えると、複数の情報源があってそこからなんらかの結論を導く感じだと思います。
結論自体は、立場・視点でも異なってきますし、記者が持っていない情報を自分が持っていれば変わってくるかと思います。大手のメディアであればよほどのことがない限り情報源に偽りを用いることはないかと思いますので、そこを活用していくのは重要じゃないかなと思います。
なので、発表される記事なんかで何か会社で都合が悪いことが起きてるとしたら、発信する側の問題では無くて、使う側の問題じゃないかなって、いつも思います。

<A>
Xさんは簡単に言いますが、全体的な情報の入手が困難な人たちにはなかなか難しいと思いますよ。私のような小さな規模の会社では、多くの情報を入手することは困難です。少ない情報の中からその記事の真意を把握することは、皆が簡単にできることではないと思います。
Xさんは大手自動車メーカーにいたからそういうことができるんだと思います。
このまとめサイトの記事を見て、え?ってなったときは、補足等入れてください。

<X>
そうですね、極力そういうことに気をつけて記事書いて行こうと思います。

<A>
一方的ですけど、こういう活動してなんらかの力になれないかチャレンジして行きましょう。
今の所、苦情はきてないので大丈夫です。

<X>
そうですね。継続して行きましょう。
今回はそのためのネタ何にします?

<A>
NEDOがやってるRISINGなんかはどうですか?
参画していないメーカーさんなんかから何やっているのか中身が見えないって言われます。

<X>
一応、公に成果報告してますよ。電池討論会とかで特別セッション作って。
全てかどうかわかりませんが、結構ちゃんとおもてに出していると思いますよ。知財関係絡むものも特許出したら報告してますよ。
メンバー構成が大学の人員主体なので、論文にするなり発表するなりしていかないと彼ら自体の成果にならないですからね

<A>
XさんはRISING関係の仕事もされていたようなので、内情もよくご存知かと思います。

<X>
直接は関わっていませんが、間接的に内情を知る立場ではありましたね。

<A>
研究成果は発表されているのですが、研究テーマの選定理由がわかりません。大学の研究とRISINGでの研究の違いってなんでしょうか?

<X>
多くの研究はエネルギー密度の高い電池作るという目標なのに材料の研究になっちゃってますね。材料のエネルギー密度が高いことは必ずしも市場に出す電池のエネルギーを高めるわけではないので、このプロジェクトでは企業側がサポートする事でそこらへんが大学研究との違いになるはずです。

<A>
電池メーカの方も参加しているのは、事業化、製品化みたいなものを視野にいれていると思うのですが、電池メーカの人たちはどのような形で参加しているのでしょうか?その技術を利用したいという聴講者として参加しているのですか?量産化へのアドバイザーとして参加しているのですか?

<X>
私の感覚というか予想になってしまいますが、自動車メーカーが主導していて、電池メーカーの方はそこでサポートしていくような関わり方をしていると思います。
実際のところ、量産化に関わるところのアドバイスは難しいですよね。競争領域になってしまうので。商品化するためのアドバイスをする感じで進めていると思います。

<A>
大学の役割は?

<X>
やはりサイエンスの部分だと思います。問題にぶつかった時に原理原則的なところを解明するような事ですね。そこの支援があれば、企業側の研究で培ったアイディア出せる可能性が広がるんじゃないかなと思ってます。

<A>
今回のNEDOの全固体電池をオールジャパンで、というお話もでていますが、それに参加している人員ってどうやって選ばれるのでしょうか?今、サッカーのワールドカップが開催されていますが、その日本代表、みたいな感じで、それぞれのメーカーの代表みたいな精鋭が集まっているのでしょうね。

<X>
企業側は若手の教育目的に使われることが多い気がします。
多くの企業の方が集まるので、そこでのコネクションはプロジェクトが終わっても生かすことができますしね。

<A>
オッサンジャパンじゃないってことですね。ただ、若手じゃない人が送り込まれているようなことも聞きますが、そこはどう思います。

<X>
(苦笑)
何言わせたいんですか?

<A>
ごめんなさい。確かに、企業側として優秀な人材を送るというのは自社の戦力が削がれるような感じはしますが、その人の成長、そして、帰ってきたときの周りへの影響を考えて、メリットがあるからドンドン優秀な人材を投入しよう!ってなったら面白いですね。サッカーとかの日本代表みたいに、代表に選ばれるためにも普段の仕事を頑張るぞ!そして選ばれることが誇りになるようなオールジャパンの仕組みができると面白いですね!サッカーで言うとJ1ではなくJFL以下にあたる僕も万が一代表に選ばれたときのために準備しておきます。

ところで、RISINGのプロジェクトは、研究としての価値はあるんですかね?

<X>
ストレートな質問ですね。
回答の仕方を変えると、材料メーカーさんがあそこでやっていることが市場に出てくるかどうかを気にしているのであれば、いまは気にしなくてもいい気がします。
NEDOの発表にも書かれているように、簡単に言えば色々材料変えて「化学反応型」の活物質いじっている感じですよね。
それに興味がある企業は参考になるところはあるんじゃないでしょうか?

<A>
見方変えると結構厳しい言い方、してるような気もしますが。
ただ、よく聞く批判というのは、あんなもの商品にならない、とかいうことですが、そのような見方ではなく、もっと深い、普遍的な現象を理解しようとしている、ということですね。
まさに今2回に分けて、Post-LIBを題材に化学反応型の活物質について記事を書いてもらっていますので、詳細はそちらを参考にしてもらうとして、取り組み方について何かこんな感じになれば、もっとよくなりそう、みたいなものはありますか?僕らで話していても無意味かもしれませんが、万が一、僕が代表に選ばれたときのために。

<X>
次回の記事でも触れようと思っていたんですが、化学反応型の活物質全般の課題を明確にして、その原理原則を解明していくような取り組みにして欲しいですね。
そういうことやっていけば、材料が変わってもやってきたことは流用できるはずなので。
あと、今回のプロジェクトのように製品を最終目的においたときの課題の設定は、商品を知らない大学の人間には難しい気がします。なので、このプロジェクトでは企業側の人間も参画しているので、その人たち主導で課題を設定して、大学にやってもらうように進めて欲しいですね。

<A>
スタートして結構時間経ってますが、できているんですかね?

<X>
できていない気がします。荒木さんにはご理解いただけると思いますが、企業においても研究側と開発側で大きな溝があり、研究したものが商品に結びつくのがうまくいかないことが多いです。
このプロジェクトに企業側で参画しているのは、多くは”研究”をやられている部署の方々のように感じますので、厳しいのではと予想しています。

<A>
今後はより商品に近い人達が加わっていくほうがいいのかもしれませんね。せっかく多額の税金を使うのですから、日本経済にリターンがあるような形に変化していってほしいです。

<X>
投入した金額以上のリターンがなんらかの形でできればいいと考えれば、一番期待できるのは参画している人たちがそこで得た人脈や知見を生かして日本経済に貢献することとでしょうか。
そういう意識でやっていただいていると信じたいです。

<A>
RISINGからの直接の成果が日本経済に貢献すること、期待しようではありませんか!

ところでこのプロジェクトで、一社ではなかなか導入できないような大型設備に投資して解析に結構力入れていますが、どう思います?

<X>
不要だと思いませんが、やり方に気をつけないと効率悪いだろうなと思って見てます。
簡単にいうと局所の解析をしているわけですが、その着目しているところが最終的な電池性能に支配的なところであればいいのですが、そうでないところを一生懸命見てても効率悪いですよね。

<A>
ここでも参画している企業側の役割が重要ですね。
最近、どこかの会社がナノが重要だと言って力入れている記事がありましたが、彼らはきっとそういうことは理解してやっているんでしょう。

<X>
もちろんそうじゃないでしょうか。電池作っている会社でもありますしね。

ところで、今回はRISINGで何やっているかってところが議題だったと思いますが、こんな感じで大丈夫でしたか?

<A>
最初は、RISINGの研究成果についてお話を進めようかと思っていましたが、違った方向へ進んでしまいました。こういう意見っておもてに出てこないので、僕は勉強になりました。

<X>
中には不快な思いをされた方もいるのではないでしょうか?敵を作りました?

<A>
既に周りは敵だらけですから(嘘)。。笑

<X>
荒木半端ないって!