13 4月 2019

【論文紹介】Anti‐Oxygen Leaking LiCoO2 – Sharifi‐Asl – – Advanced Functional Materials

Advanced Functional Materials, 2019; 1901110 DOI: 10.1002/adfm.201901110
・イリノイ大学シカゴ工科大学の研究者らが、グラフェンで被覆したコバルト酸リチウムの熱安定性を高め、高電圧での酸素放出を抑制することを確認した。
・rGO/LCOの界面において、強いC-Ocathode結合を形成しており、それによって酸素放出を抑制する。
・このグラフェン被覆LCOは高いカットオフ電圧において、未被覆品に比べて顕著にサイクル容量維持率が向上することを確認した。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/adfm.201901110

高電位で活物質が分解しない対策は、ドーパントや形状、結晶性の制御で行われることが多かった。
このような被服でも効果があるのであれば、新しい選択が増えたことになる。C-0結合云々の原理説明が正しければ三元系やNCAなどにも展開できるということになる。

お気軽にご連絡ください。
●会員向けの購読依頼
まとめサイト担当:comment_x (at) arm-tech.jp
●電動化およびエネルギー関連の商品・サービス、電池戦略に関するご相談
大木:Hideki.Oki (at) arm-tech.jp

03 4月 2019

【論文紹介】Deep eutectic solvents for cathode recycling of Li-ion batteries | Nature Energy

出典:https://www.nature.com/

Nature Energy doi: 10.1038/s41560-019-0368-4
・ライス大の研究チームは、深共晶溶媒(DES:Deep Eutectic Solvent)を使用して、使用済みリチウムイオン電池から希少元素を抽出する方法を開発した。
・深共晶溶媒とは、「水素結合ドナー性の化合物」と「水素結合アクセプター性の化合物」をある一定の割合で混ぜることでつくる『室温で液体』になる化合物。
・市販の塩化コリンとエチレングリコールでできているこの溶媒に浸漬して加熱することで、粉末化合物から90%以上のコバルトを抽出できることを確認した。
・コバルトおよびリチウムイオンは深共晶溶媒に溶解するため、濾過することでアルミニウム集電体、バインダー、導電性カーボンを別々に回収することができる。
・その後、コバルト化合物は沈殿または電着によって回収することができる。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41560-019-0368-4

アカデミック領域にはこのような研究を期待する企業は少なくはないのではないだろうか。
日本の学術界の研究テーマは、資金獲得の仕組みの影響もあり、年々多様性が失われている気がする。

お気軽にご連絡ください。
●会員向けの購読依頼
まとめサイト担当:comment_x (at) arm-tech.jp
●電動化およびエネルギー関連の商品・サービス、電池戦略に関するご相談
大木:Hideki.Oki (at) arm-tech.jp

31 3月 2019

【論文紹介】Intercalation-conversion hybrid cathodes enabling Li–S full-cell architectures with jointly superior gravimetric and volumetric energy densities | Nature Energy

出典:https://media.springernature.com/

Nature Energy doi: 10.1038/s41560-019-0351-0
・MITの研究者らが、LiS電池用の新しいハイブリット型の正極を開発。
・ハイブリット型正極とは、インターカレーション型Mo6S8とコンバージョン型硫黄(HMSC)の組み合わせ。
・現在LiS電池の多くの報告は、Sの高い理論用にもかかわらず、導電剤の量が多いなど、活物質のロード量が少なく、フルセルとしてのエネルギー密度を十分に取り出すことはできていない。
・高速なリチウムイオン輸送能、高い電子伝導性、およびリチウムポリスルフィドに対する高い親和性を有する、Mo6S8は、硫黄種を固定化する理想的な骨格となりうる。
・これにより、導電剤の量を10wt%程度に減少させることができ、プレスによって高密度化(空隙率55vol%)することができる。
・このハイブリット型正極を用いたLiS電池は、366Wh/kgの重量エネルギー密度および581Wh/Lの体積エネルギー密度を達成。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41560-019-0351-0

22 3月 2019

【論文紹介】Solid-state polymer electrolytes with in-built fast interfacial transport for secondary lithium batteries | Nature Energy

出典:https://media.springernature.com/

Nature Energy, 2019; DOI: 10.1038/s41560-019-0349-7
・室温において10-3S/cmを達成する高分子固体電解質についての報告。
・ガラスのコップに氷を入れた際、氷は点で接触している。しかしながら、氷の隙間に水を入れて凍らせれば、界面は消滅する。これをヒントにして、セル内部で重合をすることによって作製する高分子固体電解質を提案。
・環状エーテルをセル内に満たし、その後開環重合させることで、活物質界面が密着した全固体電池を作製できる。
・金属負極と組み合わせて作製した全固体ポリマー電池は安定したリチウム金属の析出溶解を繰り返すことができた。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41560-019-0349-7

材料単体でなく電池として性能を向上させる研究は今後重要になるのではないだろうか。材料だけやってあとは企業がなんとかすること、というような表現をたまに目にするが、それは無責任すぎるように思える。
電池全てに固体電解質を採用する必要はない、活物質表面など部分的に採用するのも面白いと思う。

<弊社では、科学技術に関する調査分析、ご提案や支援を行なっております>

お気軽にご連絡ください。
●会員向けの購読依頼
まとめサイト担当:comment_x (at) arm-tech.jp
●電動化およびエネルギー関連の商品・サービス、電池戦略に関するご相談
大木:Hideki.Oki (at) arm-tech.jp

21 3月 2019

【論文紹介】Improved fast charging capability of graphite anodes via amorphous Al2O3 coating for high power lithium ion batteries – ScienceDirect

出典:https://ars.els-cdn.com/

Journal of Power Sources, Volume 422, Pages 18-24 doi: 10.1016/j.jpowsour.2019.03.027
・韓国のHanyang大学の研究者チームがグラファイト表面に非晶質Al2O3で表面改質した負極材により、急速充電能力が飛躍的に向上することを確認。
・1wt%Al2O3での表面処理黒鉛が、相当する4000mAg -1の高率放電において、約337.1mAh g -1の可逆容量を示した。これは、100mAg -1の電流密度で得られた容量の97.2%に相当する。
・Al2O3はセパレータをコーティングすることで、電解液の濡れ性が向上する。これと同じく、グラファイト上にコーティングすることで電解液の濡れ性が向上し急速充電が可能となった。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0378775319302666?via=ihub

硫化物固体電池の正極表面をセラミックスでコートする。このコート技術はこのように液体の電池にも有効な結果を示す。全固体電池用に検証してきたコート技術を、液体の電池に活用してみると面白いのではないだろうか。研究対象自体が実用化しなくても、要素技術は他に転用して違った場所で花開くことが時々ある。

<弊社では、電池技術に関する調査分析、ご提案や支援を行なっております>

お気軽にご連絡ください。
●会員向けの購読依頼
まとめサイト担当:comment_x (at) arm-tech.jp
●電動化およびエネルギー関連の商品・サービス、電池戦略に関するご相談
大木:Hideki.Oki (at) arm-tech.jp

19 3月 2019

【論文紹介】High‐Voltage Charging‐Induced Strain, Heterogeneity, and Micro‐Cracks in Secondary Particles of a Nickel‐Rich Layered Cathode Material

Adv. Funct. Mater. doi: 10.1002/adfm.201900247
・ニッケルリッチ層状カソード材料(LiNi1-x-yMnxCoyO2)(NMC)の劣化の原因を特定したとの報告。
・研究チームは透過型X線顕微鏡(TXM)観察を行い、劣化粒子内のすべての化学分布をマッピングした。このデータ量は膨大で、機械学習により解析を行った。
・結論として、サイクルにより容量劣化した粒子は、全体的にニッケル原子の酸化状態に不均一性があることが明らかとなった。粒子内部のニッケルは酸化状態を維持しするが、表面のニッケルは不可逆的に還元され、その効率が低下する。
・さらに追加の実験で、容量劣化した粒子は、材料の構造内に小さなひびが入っていることが明らかとなった。
・電池の充放電プロセス中に、正極材料が膨張および収縮し、応力が発生する。その応力を効率的に解放できないとクラックが発生する。
・これらの結論から、研究チームは中空構造を持つ新しい材料を合成することで、この問題を軽減できる可能性があると考え、理論的な計算、そして実験的にその有効性を確認した。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/adfm.201900247

最近、AIを導入した分野に注目されているらしい。AIというと懐疑的に感じるところもあるが、機械学習だと考えれば今後活躍の場は広がっていくのではないだろうか。生産の現場でも導入が進んでいる。

<弊社では、科学技術に関する調査分析、ご提案や支援を行なっております>

お気軽にご連絡ください。
●会員向けの購読依頼
まとめサイト担当:comment_x (at) arm-tech.jp
●電動化およびエネルギー関連の商品・サービス、電池戦略に関するご相談
大木:Hideki.Oki (at) arm-tech.jp

18 3月 2019

【論文紹介】Detecting Li Dendrites in a Two‐Electrode Battery System

出典:https://abm-website-assets.s3.amazonaws.com/

Advanced Materials.DOI: adma.201807405
・容易にでリチウムデンドライトを検出することができる手法について。
・赤リンを塗工したセパレータを用いて電池を作製。
・デンドライトが成長し、赤リンに触れた瞬間、電池電圧が急激に低下するため、デンドライトショート直前で外部からモニタできる。
・このセパレータによって電池性能への悪影響はないことを確認。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/adma.201807405

<弊社では、科学技術に関する調査分析、ご提案や支援を行なっております>

充放電カーブから電池反応を解析できると研究開発が捗る。一方で、電池内部の反応は均一でない。平均情報の充放電カーブからだと場所の特定が困難である。今回の成果は、その課題を解決できる可能性がある。赤リンを塗布する場所を変えたセパレーターを用意し評価することで、面内方向で析出しやすい場所の特定ができるかもしれない。

お気軽にご連絡ください。
●会員向けの購読依頼
まとめサイト担当:comment_x (at) arm-tech.jp
●電動化およびエネルギー関連の商品・サービス、電池戦略に関するご相談
大木:Hideki.Oki (at) arm-tech.jp

17 3月 2019

【論文紹介】Recent Advances of 2D Nanomaterials in the Electrode Materials of Lithium-Ion Batteries | Nano

NanoVol. 14, No. 02, 1930001 (2019)
・近年のリチウムイオン電池における二次元ナノ材料の研究進捗のレビュー。
・二次元ナノ材料は、横方向のサイズが100nmより大きいシート状構造を有し、厚さは単一原子または数原子にすぎない。
・このユニークな構造は、比表面積が大きく、拡散距離が短く、導電性が優れており、電気化学的および熱的安定性など、その優れた特性を備えている。
・このレビューでは1)サイクル性能を向上するグラフェン複合材料(グラフェン修飾LiFePO4、LiCoO2、LiMn2O4など)、 2)より高い理論容量を有するV2O5。 3)良好な熱安定性を提供するLi2MSiO4。 4)その他(共有有機骨格)についてまとめられている。
<元記事>https://www.worldscientific.com/doi/abs/10.1142/S1793292019300019?utm_source=eureka_alert&utm_medium=press_release&utm_campaign=eureka_NANO&

二次元ナノ材料を使うことを電池設計の考え方まで拡張できたら活躍の場が広がるかもしれない。電池設計は、様々な要件をバランスよく達成する必要があり、NGの項目があってはならない。

<弊社では、科学技術に関する調査分析、ご提案や支援を行なっております>

お気軽にご連絡ください。
●会員向けの購読依頼
まとめサイト担当:comment_x (at) arm-tech.jp
●電動化およびエネルギー関連の商品・サービス、電池戦略に関するご相談
大木:Hideki.Oki (at) arm-tech.jp

14 3月 2019

【論文紹介】Polymer–inorganic solid–electrolyte interphase for stable lithium metal batteries under lean electrolyte conditions | Nature Materials

出典:https://media.springernature.com/

Nature Materials, 2019; DOI: 10.1038/s41563-019-0305-8
・リチウム金属電池の金属負極表面の保護層として、新規SEIを設計した。
・新規SEIは反応性のリチウム塩ポリマー、フッ化リチウムナノ粒子、酸化グラフェンからなる。
・反応性ポリマーはリチウム金属と反応してリチウム金属表面に爪のように結合し、フッ化リチウムナノ粒子を強固に担持する。
・複合材料中の酸化グラフェンナノシートはリチウムデンドライトの成長を抑制する機械的障壁として機能する。
・これにより、Li/NMCセルが安定してサイクルできることを確認した。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41563-019-0305-8

モバイルや自動車用に使えるかどうかはわからないが、低電流で温度変化がないような環境ではすでに使えるレベルかもしれない。
SEIの設計はLi金属を使いこなす以外にも、既存の電池の耐久性能をあげるのにも寄与することがある。この研究はDOEから予算が出ている。

<弊社では、科学技術に関する調査分析、ご提案や支援を行なっております>

お気軽にご連絡ください。
●会員向けの購読依頼
まとめサイト担当:comment_x (at) arm-tech.jp
●電動化およびエネルギー関連の商品・サービス、電池戦略に関するご相談
大木:Hideki.Oki (at) arm-tech.jp

13 3月 2019

【論文紹介】Advances and issues in developing salt-concentrated battery electrolytes | Nature Energy

出典:https://media.springernature.com/

Nature Energy; DOI:10.1038/s41560-019-0336-z
・濃厚電解液についての総説。
・従来のイオン伝導度を優先した濃度固定での設計変数は塩と溶媒の組み合わせ(2次元探索)に限定されていたが、2014年濃度を設計変数に 加える(3次元探索)ことで引き起こされる配位構造の変調が、「溶媒種によらず保護被膜形成 能を大幅に高める」ことが見いだされ、これまで盲点となっていた中・高濃度領域における電解 液開発が集中的に行われた。
・濃厚電解液は、超高速充放電、5 V 級高電圧耐性、消火機能、長期安定動作といった従来得 られなかった大きな付加価値は、先進蓄電池の開発と社会実装を加速する原動力になり得ると期 待されている。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41560-019-0336-z
<プレスリリース>http://www.t.u-tokyo.ac.jp/shared/press/data/setnws_201903121435159440666926_950449.pdf

新しい材料の創出や原理現象に関する進展はアカデミック領域の支援無くして発展はない。一方で、電池という複数の材料の組み合わせであり生産技術なども重要で使われ方も多様化しているデバイスの進展は、一つの材料から予測するのは危険である。ここ20年を振り返ってみると、多くのミスリードがあったことがわかる。

<弊社では、科学技術に関する調査分析、ご提案や支援を行なっております>

お気軽にご連絡ください。
●会員向けの購読依頼
まとめサイト担当:comment_x (at) arm-tech.jp
●電動化およびエネルギー関連の商品・サービス、電池戦略に関するご相談
大木:Hideki.Oki (at) arm-tech.jp