23 8月 2019

【論文紹介】Quantifying inactive lithium in lithium metal batteries | Nature

出典:https://media.springernature.com/

Nature, 2019 DOI: 10.1038/s41586-019-1481-z
・リチウム金属電池の容量劣化の原因の一つはSEI中に堆積する不活性リチウム(デッドリチウム)。
・従来まで、容量劣化(低クーロン効率)の原因はSEIの堆積によるものと考えられており、SEI層を制御および安定化するためのさまざまな方法の開発を行ってきたが、完全に解決できていない。
・今回、SEI中のリチウムイオンと不活性なリチウムメタルを分離して定量的に測定する手法を開発し、解析したところ、放電中のリチウム金属負極において、金属リチウムの一部が負極から分離し、SEI層中に取り残されていることが確認された。
・それにより、それらのリチウムメタルは、負極との電気的接続が切れ、その後の放電に寄与できないデッドリチウムとなり、クーロン効率を低下させる原因となっていることが明らかとなった。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41586-019-1481-z

個人的な感想になるが、このような内容がNatureに掲載されて嬉しさを覚えた。あたりまのことを確認しているように思えるが、学術の進化はこのような原理を一つ一つ確認していくことが重要だと思う。ただ単に数値を競うものだけでなく、このような研究が電池分野でも増えることを期待したい。

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08 8月 2019

【論文紹介】Long cycle life and dendrite-free lithium morphology in anode-free lithium pouch cells enabled by a dual-salt liquid electrolyte | Nature Energy

出典:https://media.springernature.com/

Nature Energy doi: 10.1038/s41560-019-0428-9
・ジェフダーンらのチームによる、負極レスLi金属電池の長寿命化電解液組成に関する報告。
・デュアルソルト電解液 (1 M lithium difluoro(oxalate)borate (LiDFOB) and 0.2 M lithium tetrafluoroborate (LiBF4) in a fluoroethylene carbonate (FEC):diethyl carbonate (DEC) solvent)によって、負極レスLi金属電池が90サイクル80%の容量維持率を示すことを確認。
・50サイクルの時点でも負極表面にはデンドライトのないなめらかな表面である。
・この研究は、液体電解質であってもLi金属電池を使用できることを示しているとのこと。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41560-019-0428-9

共著者にテスラ関係者が入っている。テスラ も金属リチウムに興味を持っているようだ。

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04 8月 2019

【論文紹介】Characterization of Sn4P3–Carbon Composite Films for Lithium-Ion Battery Anode Fabricated by Aerosol Deposition | Nanomaterials

出典:https://www.mdpi.com/nanomaterials/

Nanomaterials, 2019; 9 (7): 1032 DOI: 10.3390/nano9071032
・豊橋技術科学大学の研究者らは、エアロゾルデポジション法(AD)により、リチウムイオン電池アノード用のバインダーレスSn4P3 / C複合膜電極の製造に成功した。
・Sn4P3粒子をボールミル粉砕法を用いてアセチレンブラックと複合体を形成する。次いで、得られたSn4P3 / C粒子を、導電性添加剤または結着剤を添加することなく、衝撃圧密によって金属基材上に直接固化させる。
・ADプロセスによって製造されたSn4P3 / C複合膜は、100、200、および400サイクルでそれぞれ約730mAh/g、500mAh/g、および400mAh/gの重量容量を維持する。
・さらに、LiだけでなくNaも、同様の合金化および脱合金化反応によってSn4P3 に吸蔵および放出することができるので、Sn4P3 電極は、はるかに低いコストで次世代Naイオン電池に使用することができる。
<元記事>https://www.mdpi.com/2079-4991/9/7/1032

このような構造体を作る研究は昔から盛んに行われてきた。最近、ベンチャーに投資する企業も増えてきた。
アイディア自体は古くからあるがなかなか実用化するものが現れない。その理由を少し考えてみると他の方と違ったアイディアが浮かぶのではないだろうか。

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28 7月 2019

【論文紹介】Designing a safe electrolyte enabling long‐life Li/S batteries

ChemSusChem doi: 10.1002/cssc.201901770
・LiS電池用の電解液添加剤としてイオン液体Py1,4 TFSIを用いた。
・Py1,4 TFSIはリチウム金属表面のSEIを安定化させ、また、溶媒の燃焼性を低下させる。
・さらに、Py1,4 TFSI添加剤を用いたLiS電池では、溶出したSの負極上の堆積を減少させる効果が認められた。
・同様の効果が報告されている添加剤としてLiNO3が知られているが、LiNO3は消費型の添加剤であり、特に定電流で消費されるため、サイクル寿命はLiNO3濃度に依存する。
・高硫黄質量負荷(4 mg/cm-2)のLi / S電池は、LiNO3添加剤を使用する電池の2倍以上の600 mAh g -1の安定した容量を示した。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/cssc.201901770

根本的な解決というよりは、劣化を遅らせるといったようなイメージであろうか。
電池は全く劣化させないというのは困難である。目的の用途に合わせて、許容できる劣化に抑えられるように設計して製品を作っている。
研究では、独特の条件で行なっているのもが多い。もう少し製品を見据えた条件で行えば、開発側の目に止まって実用化が見えてくることもあるかもしれない。

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23 7月 2019

【論文紹介】An air-stable and waterproof lithium metal anode enabled by wax composite packaging

出典:https://ars.els-cdn.com/

Science Bulletin, 64 (13) 910-917 doi: 10.1016/j.scib.2019.05.025
・リチウム金属負極の表面保護技術。
・リチウム金属表面にワックスとPEO混合物を被覆した。
・被覆方法はディップするだけの簡便な方法。
・ワックスで被覆することで、水分や酸素とリチウム金属の反応を抑制でき、大気中でも24時間安定。
・このコーティングを行った金属負極を用いたLiS電池で300サイクル安定して動作することを実証。
<元記事>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2095927319303196?via=ihub

Li金属関係のベンチャーが乱立している。全固体やFCもそうであるが、周期的にブームがくる。
Li金属負極は電池容量が大きな用途では課題がまだあるが、このような技術の積み重ねで進化していることは間違えない。低容量用途で市場に出してみる価値はあるのかもしれない。

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10 7月 2019

【論文紹介(オープンアクセス)】The Cell Cooling Coefficient: A Standard to Define Heat Rejection from Lithium-Ion Batteries

出典:http://jes.ecsdl.org/

J. Electrochem. Soc. volume 166, issue 12, A2383-A2395 doi: 10.1149/2.0191912jes
・急速充放電等によるセルの発熱による温度勾配は、電池内の局所的な劣化を進行させる。
・著者らは電池寿命や安全性に関連するセルやパックの放熱速度を定量化する新たな指標”セル冷却係数(CCC)”を提案した。
・このCCCは、セルデザイン、フォームファクタ、または内部材料に依存しないため、それらの異なるセルを比較することができ、それらのセルやパックの熱マネジメントの設計が容易になる。
・この新しい測定基準の詳細、測定方法がオープンアクセスの本論文で紹介されている。
・今後、セルのスペックシートにこの指標が加わることで、アプリケーションの開発等にも競争力が増すと期待される。
<元記事>http://jes.ecsdl.org/content/166/12/A2383

面白い試みではないだろうか。
各社の電池に温度依存のセル冷却係数を定義してあげると、単一のプラットフォーム上のそれらを使いこなすことにつながるかもしれない。
このような設計を考える上で重要なポイントを見抜くのはイギリス人は得意なのかもしれない。半導体設計のARMもイギリス発祥であった。
自動車産業のプラットフォームビジネス化(電動車のプラットフォームのことではありません)が加速していく。テスラのように車両OSであったり、パック設計ノウハウを蓄積するようなレイヤーの会社が主導権を握るのではないだろうか。

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07 7月 2019

【論文紹介】Sulfur-Anchored Azulene as Cathode Material for Li-S Batteries – Chemical Communications

出典:https://bioage.typepad.com/

ChemComm doi: 10.1039/C9CC04413B
・LiS電池用の硫黄含有正極について。
・ベンゼンフリーおよびビニルフリーの分子であるアズレン系の有機硫黄ポリマーを提案。
・このアズレン系の有機硫黄ポリマーは硫黄含有量が67wt%で初期放電容量は1036mAh/g。
・100サイクル後の容量は515mAh/g。
<元記事>https://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2019/CC/C9CC04413B#!divAbstract

26 6月 2019

【論文紹介】 GSユアサ 第16巻 第1号 テクニカルレポート |2019年(平成31年)6月25日 発行

目次抜粋
・自動車シミュレーションのための鉛蓄電池モデルの開発
・鉛蓄電池遠隔監視装置 DATAWINDOW- S Ver.3 の開発
・Development of generation IV large format Li- ion cells for space applications
・HEV 用リチウムイオン電池 EHW5 の開発
・登録特許公報一覧(2018.11 ~ 2019.4)
<元記事>https://www.gs-yuasa.com/jp/technic/vol16/no1.php

EHW5の電池特性は、特にアカデミック領域の方々に理解していただきたい。商品性を維持してこのような電池特性を液体LIBで実現できる。市場に出ている電池の特性を理解していない研究をよく目にする。

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15 6月 2019

【論文紹介】NEDO 海外技術情報(2019 年 6 月 14 日号)

◯エネルギー関連目次抜粋
・降雪で発電する新デバイス
UCLA が、降雪で発電する摩擦帯電型ナノ発電デバイス、snow TENG (snow-based triboelectric nanogenerator)を開発。 小型でフレキシブルな薄いプラスチックシート状の同デバイスは、正電荷を帯びた雪と負電荷を帯 びたシリコーンを組合せたもので、雪がシリコーンの表面に接触することで発電する。
<元記事>https://www.nedo.go.jp/content/100893787.pdf

雪の結晶の形によって発電効率が違って、地域のよって違いが出そうである。
太陽光が少ない地域で活用の道があるかもしれない。

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14 6月 2019

【論文紹介】A Semiliquid Lithium Metal Anode: Joule

出典:https://www.cell.com/

Joule doi: 10.1016/j.joule.2019.05.022
・全固体電池用のリチウム金属負極を半液体状にすることで、固体電解質/負極界面の抵抗を低減した。
・二種の導電性高分子とリチウム金属微粒子を懸濁液として、半液体状のリチウム金属負極(SLMA)を開発した。
・半液体状であるため、全固体電解質と負極との界面は良好に接触し、通常のリチウム金属/固体電解質電池と比較して10倍以上の放電電流が可能となり、且つ、リチウム析出溶解反応の過電圧が減少する。
<元記事>https://www.cell.com/joule/fulltext/S2542-4351(19)30265-X?_returnURL=https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S254243511930265X?showall=true

Li金属の析出溶解界面を増やすことができたために抵抗が小さくなったということであろうか。
サイクルを回しても初期の形状が継続できるのであれば、リチウム金属を使用するブレイクスルーになるかもしれない。

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