21 10月 2019

【論文紹介】Towards stable and efficient electrolytes for room-temperature rechargeable calcium batteries – Energy & Environmental Science

出典:https://pubs.rsc.org/

Energy & Environmental Science, 2019; DOI: 10.1039/c9ee01699f
・Karlsruhe Institute of Technology (KIT ) の研究者によるカルシウムイオン電池の電解液に関する報告。
・これまで報告されているカルシウムイオン電池は、ほとんどが高温での動作であり、室温で充放電した報告は殆どない。
・今回、著者らは、、室温で可逆的なCa析出、4.5 Vまでの高い酸化安定性、> 8 mS/cmの高いイオン伝導性を示す新規nなテトラキス(ヘキサフルオロイソプロピルオキシ)ホウ酸カルシウムCa [B(hfip)4] 2ベースの電解質を開発した。
<元記事>https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2019/EE/C9EE01699F#!divAbstract

カルシウム電池といえば、NTTの基礎研で長いこと取り組んでいたが、今もやっているのであろうか。
多価イオン電池の問題は、有望な活物質がないことである。それを得るには、Liイオン電池の延長ではない考えが必要なのかもしれない。

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16 10月 2019

【論文紹介】Origin of lithium whisker formation and growth under stress | Nature Nanotechnology


Nature Nanotechnology doi: 10.1038/s41565-019-0558-z
・PNNLの研究者らはリチウム金属のデンドライトやウィスカーの成長原理の解明を試みた。
・TEMとAFMを組み合わせ、AFMのカンチレバーをウィスカーの先端に押し当てて、様々な条件のもとウィスカー成長の力を測定した。
・その結果、デンドライトが急速に成長するのは、SEIが関与しており、SEIのエネルギーダイナミクスがゆっくりと成長する金属リチウムカラムに, より多くのリチウムイオンを供給するために、デンドライトが急速に成長する。
・そして、エチレンカーボネート量もデンドライトやウィスカーの成長と直接的な相関があることを確認。電解液中のエチレンカーボネート量が増大するとデンドライトの成長も増加する。
・著者らは、幾つかの電解液の成分を変更した結果、シクロヘキサノンの添加がデンドライト成長抑制に効果があることを見いだした。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41565-019-0558-z

14 10月 2019

【論文紹介】Using Mixed Salt Electrolytes to Stabilize Silicon Anodes for Lithium-Ion Batteries via in Situ Formation of Li–M–Si Ternaries (M = Mg, Zn, Al, Ca)

出典:https://pubs.acs.org/

ACS Applied Materials & Interfaces, 2019; 11 (33): 29780 DOI: 10.1021/acsami.9b07270
・シリコン負極用の高耐久電解液添加剤についての報告。
・本報告では、電解液に第二の塩として、多価M TFSIx(M = Mg、Zn、Al、Ca)を0.1M添加した。
・多価イオン(Mg)TFSI2が初期の充電でSi活物質表面にMgLiシリサイドを形成する(金属ドーピング)。
・この金属ドーピングの有無によるシリサイドの電解液との反応性を確認したところ、金属ドーピングによって劇的に電解液の反応性を抑制することを確認した。
<元記事>https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.9b07270

エネルギー密度が高い方が使い勝手がいいことは間違えないが、ユーザーの使い方を変えるようなアイディアでそれほど電池が長く使えなくても問題ないことになる。ユーザー目線が抜けていてある性能を目指していていたらその技術は不要になった、みたいなことは知る限りでもかなりある。基礎研究として割り切るのであればいいが、市場を切り開くことが目的であれば視野を広げる必要がある。

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09 10月 2019

【論文紹介(オープンアクセス)】Inter-comparison of lattice parameters and evaluation of peak-shift obtained by Rietveld refinements

出典:https://ars.els-cdn.com/content/image/1-s2.0-S2211379719306448-gr7.jpg

Results in Physics, Volume 15, December 2019, 102640
・解がばらつくリートベルト解析の格子定数のばらつきを抑制し、正確(+/–0.00006 Å)に算出可能な技術についての報告。
・リートベルト解析の解析結果は、解がばらつく。同一データでさえ、解析者や解析日によって算出値が異なる。
・以下の関連論文では、立方晶系において互いに相似の関係をもつばらつき方であることを数式で予言していたが、実験的証明には至っていなかった。
・本論文では、立方晶系以外の結晶系について実験結果の検証を行った。
・その結果、いずれの結晶系についても、様々な解析者や装置、解析条件で得られた結果のばらつき方は、お互いに相似の関係であることを実証し、波長や統計誤差、系統誤差、ピーク位置シフト等、相似の関係をもたらし得る原因について検証を行ったところ、相似関係を定量的に説明できる要素はピーク位置シフト(特に解析上現れるピーク位置シフト)のみであることを明らかにした。
・関連論文記載の追加の指標を用いることで、ばらつき問題を解決することができ、標準参照試料を用いることなく、誰でも正確(+/–0.00006 Å)に格子定数を算出すること(従来と比べて2桁以上もの劇的な向上)が可能となる。
・なお、本解析は日本の株式会社フィゾニットにて委託分析が可能である。
<元論文>https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211379719306448?via=ihub
<関連論文>https://www.nature.com/articles/s41598-017-15766-y

文中に記載の通り、ばらつきにもサイエンスとして有効な情報が含まれている。それを理解した上で、使用するのには有効かもしれない。
分析装置は進化して、特に解析方法など誰にもわかりやすく使いやすいようにインターフェイスが工夫されている。一方で、分析の原理を理解せずに使用している人が多いのは多少問題を感じる。

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02 10月 2019

【論文紹介】A ZIF-67-derived–sulfur sandwich structure for high performance Li–S batteries

出典:https://aip.scitation.org/

APL Materials 7, 091115 (2019); https://doi.org/10.1063/1.5122819
・北京工科大学(BIT)の研究者による、LiS電池用の硫黄正極の課題であるポリスルフィドのシャトル抑制手法を提案。
・金属有機構造体(MOF)であるZIF-67で硫黄のサンドイッチ構造の正極を作製。
・MOFが硫黄の溶出を抑制するだけでなく、電気伝導性を向上させるため、より速い反応速度で、且つ、ポリスルフィドのシャトルを抑制できる。
・作製した硫黄正極は、 1158.1 mAh/gの初期容量を実現し、300サイクル後にも715 mAh/gを維持することを確認。
<元記事>https://aip.scitation.org/doi/10.1063/1.5122819

29 9月 2019

【論文紹介】A Long‐Cycle‐Life Lithium–CO2 Battery with Carbon Neutrality – Ahmadiparidari – – Advanced Materials

出典:https://xpic.x-mol.com/

Advanced Materials, 2019; 1902518 DOI: 10.1002/adma.201902518
・リチウム二酸化炭素電池についての報告。
・リチウム二酸化炭素電池は、リチウムイオン電池の7倍以上の理論エネルギー密度を持つため、注目されているが、可逆的に高効率で充放電を繰り返したプロトタイプは報告されていない。
・今回、シカゴのイリノイ大学の研究者らは、最大500回の連続充放電サイクルで動作するリチウム二酸化炭素電池のプロトタイプのテストに成功した。
・炭酸リチウム電池を放電すると、炭酸リチウムと炭素が生成される。充電段階で炭酸リチウムは再利用されるが、炭素は触媒上に蓄積するだけで、バッテリーの容量劣化につながる。
・炭素の蓄積は、触媒の活性部位をブロックし、二酸化炭素の拡散を防ぐだけでなく、充電状態で電解質の分解を引き起こす。
・著者らは、電解液にイオン液体/ジメチルスルホキシドを用いて、カソード触媒としてMoS2ナノフレークを使用することで、この問題が改善されることを見出した。
・これにより、これまで報告されているリチウム二酸化炭素電池の中では最も良好なサイクル安定性を確認した。
<元記事>https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/adma.201902518

話は逸れる。触媒は様々な分野で使用され、生活を支えるのに欠かせない。どうも最近研究対象として人気がないようである。研究は20年ぐらいのスパンで盛衰が繰り返される。ナノテクで触媒は注目されていた。そろそろ20年経つので何か面白いものが出てくるかもしれない。最近、ハーバーボッシュ法に代わるものを発表していたが、結局評価はどうだったのであろうか。

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24 9月 2019

【論文紹介】Three-Dimensional Antimony Nanochains for Lithium-Ion Storage

出典:https://pubs.acs.org/

ACS Applied Nano Materials, 2019; DOI: 10.1021/acsanm.9b01316
・高容量の半金属であるアンチモンでナノチェーンと呼ばれる網状の構造の負極材を作製した。
・合成時に使用する還元剤であるアンモニア-ボランがナノチェーン構造内に空孔を形成する。
・この空孔が、充電時の活物質の膨張を緩和するため、長寿命化が期待される。
・作製したアンチモン負極は0.5Cで523mAh/gの容量を示し、100サイクル後も92%の容量を維持することを確認。
<元記事>https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsanm.9b01316

あまり知られていないが、アンチモン化合物は負極として高容量を示すものが多い。幅広く価数変動して、取り得る結晶構造も多いからである。このようなユニークな材料がまだ見つかる可能性はある。

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12 9月 2019

【論文紹介】Cycle stability of conversion-type iron fluoride lithium battery cathode at elevated temperatures in polymer electrolyte composites | Nature Materials

出典:https://www.nature.com/

Nature Materials, 2019; DOI: 10.1038/s41563-019-0472-7
・熱安定性に乏しいと考えられてきた金属フッ化物正極が固体電解質と併用することで、熱安定性が向上する。
・金属フッ化物コンバージョン正極は低コスト正極として古くから注目をされてきたが、熱安定性に乏しく、実用化は困難であった。
・今回、金属フッ化物正極と固体高分子電解質を併用することで、高温での性能を改善できることを実証した。
・本報告では、高容量(>450mAh/g)のFeF2/高分子固体電解質ナノ複合体正極用いたセルを50度で300サイクル安定して充放電を繰り返すことを確認した。
・高温での安定性は、柔軟な高分子固体電解質はFeF2の充放電に伴う大きな体積変化を緩和し、FeF2表面に均一なカソード電解質界面層を形成することに起因する。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41563-019-0472-7

少し曲がった見方をしてしまうと、高温でないと綺麗なデータが取れないとも読み取れてしまう。
電池は用途にもよるが、充電と放電の電圧の差は、いくら電池容量が大きくても実用化を考えたときに大きな問題になる。このような材料を使用すると過電圧が大きくなる。その根本的な原理解明や解決策を考える研究の方が重要だと思う。

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23 8月 2019

【論文紹介】Quantifying inactive lithium in lithium metal batteries | Nature

出典:https://media.springernature.com/

Nature, 2019 DOI: 10.1038/s41586-019-1481-z
・リチウム金属電池の容量劣化の原因の一つはSEI中に堆積する不活性リチウム(デッドリチウム)。
・従来まで、容量劣化(低クーロン効率)の原因はSEIの堆積によるものと考えられており、SEI層を制御および安定化するためのさまざまな方法の開発を行ってきたが、完全に解決できていない。
・今回、SEI中のリチウムイオンと不活性なリチウムメタルを分離して定量的に測定する手法を開発し、解析したところ、放電中のリチウム金属負極において、金属リチウムの一部が負極から分離し、SEI層中に取り残されていることが確認された。
・それにより、それらのリチウムメタルは、負極との電気的接続が切れ、その後の放電に寄与できないデッドリチウムとなり、クーロン効率を低下させる原因となっていることが明らかとなった。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41586-019-1481-z

個人的な感想になるが、このような内容がNatureに掲載されて嬉しさを覚えた。あたりまのことを確認しているように思えるが、学術の進化はこのような原理を一つ一つ確認していくことが重要だと思う。ただ単に数値を競うものだけでなく、このような研究が電池分野でも増えることを期待したい。

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08 8月 2019

【論文紹介】Long cycle life and dendrite-free lithium morphology in anode-free lithium pouch cells enabled by a dual-salt liquid electrolyte | Nature Energy

出典:https://media.springernature.com/

Nature Energy doi: 10.1038/s41560-019-0428-9
・ジェフダーンらのチームによる、負極レスLi金属電池の長寿命化電解液組成に関する報告。
・デュアルソルト電解液 (1 M lithium difluoro(oxalate)borate (LiDFOB) and 0.2 M lithium tetrafluoroborate (LiBF4) in a fluoroethylene carbonate (FEC):diethyl carbonate (DEC) solvent)によって、負極レスLi金属電池が90サイクル80%の容量維持率を示すことを確認。
・50サイクルの時点でも負極表面にはデンドライトのないなめらかな表面である。
・この研究は、液体電解質であってもLi金属電池を使用できることを示しているとのこと。
<元記事>https://www.nature.com/articles/s41560-019-0428-9

共著者にテスラ関係者が入っている。テスラ も金属リチウムに興味を持っているようだ。

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